大人は判ってくれない/フランソワ・トリュフォー

大人は判ってくれない/あこがれ Blu-ray

『大人は判ってくれない』に関する1ダース

  1. 『大人は判ってくれない』(1959年)は、『ある訪問者』(1954年)、『あこがれ』(1958年)などの短編映画を経て、1959年に発表したフランソワ・トリュフォー最初の長編映画である。
  2. トリュフォーはこの映画を皮切りに、アントワーヌ・ドワネルを主人公にした、「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズを撮り続けることになる。『アントワーヌとコレット』(1962年)、『夜霧の恋人たち』(1968年)、『家庭』(1970年)、『逃げ去る恋』(1979年)。アントワーヌを演じているのは、ぜーんぶジャン=ピエール・レオ!20年以上も同じ役を同じ役者が演じるのは極めて珍しい。
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  3. 『大人は判ってくれない』には、映画少年で不良だったトリュフォー自身の記憶が、濃厚に投影されている。作中でアントワーヌが警察にヤッカイになるシーンがあるが、トリュフォーも刑務所に2回入った経歴アリ。
  4. 原題の『LES QUATRE CENTS COUPS』は、「400回の殴打」という意味だが、実際にアントワーヌが殴られる回数は、1ケタ台である(俺統計)。
  5. 『大人は判ってくれない』は、トリュフォーの精神的父親とも言うべきアンドレ・バザン(映画評論家)に捧げられている。トリュフォーがクランクインしたその日から、アンドレ・バザンの病状が悪化し、映画の完成を待たずしてこの世を去った。
  6. 同時代の映画作家への目配せもアリ。アントワーヌが両親と一緒に見に行く映画はジャック・リヴェットの『パリはわれらのもの』(1958年)であり、アントワーヌが映画館で盗んだポスターはイングマール・ベルイマンの『不良少女モニカ』(1953年)である。
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  7. 同時代のアクター&アクトレスのカメオ出演もアリ。逃げた子犬を追いかけている女性はジャンヌ・モローであり、下心丸出しで一緒に犬を探す男性は、ジャン=クロード・ブリアリである。
  8. 瑞々しいモノクロームの映像は、まるで水墨画のごとき美しさ。撮影監督は、ヌーヴェルヴァーグ時代を支えた名カメラマンのアンリ・ドカエ。ジャン=ピエール・メルヴィルの『恐るべき子供たち』(1950年)や、セルジュ・ブールギニョンの『シベールの日曜日』(1962年)など、子供を主人公にした傑作多し。
  9. 出番は少ないながらも、ノートをインクで汚してはビリビリ破くシーンで、強烈な印象を残すモジャ頭(&テンパリ癖あり)の生徒役を演じたリシャール・カナヤンは、『ピアニストを撃て』(1960年)では主人公アズナブールの弟を演じている。
  10. これを見たジャン・コクトーは、「君の映画は傑作だ。まるで奇跡だ。親愛のキスを送る!」という熱烈メッセージをトリュフォーに送ったらしい。
  11. スティーヴン・スピルバーグは、『大人は判ってくれない』におおいに影響を受けた一人。トリュフォーと同じく、勉強できない&映画オタクだった彼は、学生時代に作った自主映画『アンブリン』(1968年)で、『大人は判ってくれない』にオマージュを捧げたシーンを撮っている。
  12. 内田樹は、この映画のタイトルを模した評論集『子どもは判ってくれない』(2003年)を上梓している。
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    『子どもは判ってくれない』(内田樹)
DATA
  • 原題/Les Quatre Cents Coups
  • 製作年/1959年
  • 製作国/フランス
  • 上映時間/99分
STAFF
  • 監督/フランソワ・トリュフォー
  • 製作/フランソワ・トリュフォー
  • 脚本/フランソワ・トリュフォー、マルセル・ムーシー
  • 撮影/アンリ・ドカエ
  • 音楽/ジャン・コンスタンタン
CAST
  • ジャン=ピエール・レオ
  • クレール・モーリエ
  • アルベール・レミー
  • ジャン=クロード・ブリアリ
  • ギイ・ドゥコンブル

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