ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク

ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク [Blu-ray]

「捨て子」は、スピルバーグのフィルモグラフィーで一貫して扱われているテーマだ。

『未知との遭遇』のバリーや『E.T.』のエリオットは父親不在の核家族で育っているし、『太陽の帝国』のジェイミーは上海で両親と離ればなれになってしまう。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のフランクは天涯孤独の身の上だし、我らがインディ・ジョーンズも父親とケンカをして家を飛び出した過去がある。

電気技師の父親とピアニストの母親の元で育ったスピルバーグ自身、幼い頃に両親の離婚を経験している。おそらく「捨て子」は潜在的に彼の心身に宿っている命題なのだろう。

『ジュラシック・パーク』で、恐竜たちが我がもの顔で大地を駈け回る脅威のCG技術を世界中に見せつけた彼は、続編である『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』においても、「捨て子」を導入している。人間ではなく、Tレックスに。

要はこの映画、子供をかっさらった人間たちに親のTレックスが復讐を果たすというお話。ジェフ・ゴールドブラムをはじめとする主要人物たちが、仲間の死には無関心なくせに、何故かTレックスの子供には細心の注意を払っているのは、「捨て子」というスピルバーグの最重要テーマが恐竜に託されているからだ。

故に、Tレックスが人間を何人踏みつけようと、何人胃袋におさめようと、はたまたサンディエゴの街で暴れまくろうとも、彼らは決して人間に殺されはしない。エンパイア・ステート・ビルの頂上で絶命したキング・コングの二の舞にはならないのだ。

タイトルに『ロスト・ワールド』と冠されていることでも明らかなように、全体のモチーフはアーサー・コナン・ドイルの傑作SF小説『失われた世界(The Lost World)』。

失われた世界 (古典新訳文庫)

テーマパークで巻き起こる箱庭的物語だった前作とは異なり、野性化した恐竜たちが徘徊するイスナ・ソルナ島を舞台にしているだけあって、スケール感は数段アップしている。

にもかかわらず、人間よりも恐竜にシンパシーを感じながら作られたであろう本作は、スリラーとしての切れ味が致命的に欠落している。『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』は、スピルバーグ的モチーフがサスペンスの醸成よりも上位概念に据えられたことで失敗作となったのだ。

DATA
  • 原題/The Lost World: Jurassic Park
  • 製作年/1997年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/129分
STAFF
  • 監督/スティーヴン・スピルバーグ
  • 製作総指揮/キャスリーン・ケネディ
  • 原作/マイケル・クライトン
  • 製作/キャスリーン・ケネディ、ジェラルド・R・モーレン
  • 脚本/デヴィッド・コープ
  • 撮影/ヤヌス・カミンスキー
  • 美術/リック・カーター
  • 音楽/ジョン・ウィリアムズ
  • 編集/マイケル・カーン
  • 特殊効果/スタン・ウィンストン
CAST
  • ジェフ・ゴールドブラム
  • ジュリアン・ムーア
  • ピート・ポスルスウェイト
  • アーリス・ハワード
  • リチャード・アッテンボロー
  • ヴィンス・ヴォーン
  • ヴァネッサ・リー・チェスター
  • ピーター・ストーメア
  • ハーヴェイ・ジェイソン
  • リチャード・シフ
  • トーマス・エフ・ダフィ

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