ワン・プラス・ワン

ワン・プラス・ワン [Blu-ray]

ゴダールという御仁は、70年代より毛沢東主義に傾倒し、政治的主題を扱った映画を次々と発表していく訳だが、にもかかわらず作風はポップでグルーヴィー。

ウンザリするような説教を聴かされる割には嫌みがない。そういう意味でも、『ワン・プラス・ワン』のような映画は世界でただ一人、ジャン・リュック・ゴダールのみが撮り得る作品なんだろう。

都市の片隅でリロイ・ジョーンズの『ブルースの魂』を読み上げる黒人たち、ヒットラーの『わが闘争』を 朗読するポルノショップのオーナー、あらゆる質問に「はい」と「いいえ」で答えるアンヌ・ヴィアゼムスキー。

あらゆる政治的シークエンスが寸劇のように展開され、ゴダールはそれをワン・ショットの長回し撮影で捉える。ゴダールは自らのイデオロギーを誇示しない。ただ淡々と、観るものに「思索すること」「対話すること」を求めるだけだ。すべては記号化されている。咀嚼なしにそれを飲み込めやしない。

しかし僕には少々咀嚼能力が足りなかったようで、ロンドンで『悪魔を憐れむ歌』のレコーディングに苦心していたローリング・ストーンズを、左右のパンを多用した長回し撮影で延々撮り続けるシーンは、正直「退屈」の一言。

Beggars Banquet

多重録音が可能となった当時のスタジオワークによって、音楽に段々と生命が吹き込まれていく様子がリアルに刻印されているんだが、傑作の誕生に立ち会っているにもかかわらず、まったく高揚感が感じられず。

政治的にも音楽的にも、『ワン・プラス・ワン』は極めて時代的な作品である。五月革命で揺れていた時代背景を、ストーンズのPVと奇妙キテレツな政治的寸劇で表現してしまおうという、ゴダールの野心は大胆極まりなし。

でも僕の頭は途中からクラクラしっ放し。在りし日のブライアン・ジョーンズを映像で拝見するたびに、僕の眼は潤みがち。

DATA
  • 原題/One Plus One
  • 製作年/1968年
  • 製作国/イギリス
  • 上映時間/101分
STAFF
  • 監督/ジャン・リュック・ゴダール
  • 脚本/ジャン・リュック・ゴダール
  • 製作/マイケル・ピアソン、イェーン・クォーリア
  • 撮影/トニー・リッチモンド
  • 音楽/アーサー・ブラッドバーン、デリック・ボール
  • 編集/ケン・ラウルス
CAST
  • ミック・ジャガー
  • ブライアン・ジョーンズ
  • キース・リチャーズ
  • チャーリー・ワッツ
  • ビル・ワイマン
  • アンヌ・ヴィアゼムスキー
  • イェーン・クォーリア

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