スクール・オブ・ロック/リチャード・リンクレイター

スクール・オブ・ロック [Blu-ray]

『恋人までの距離(ディスタンス)』では切ない系ラブストーリーを、『ウェイキング・ライフ』では全編デジタルペインティングによるドラッギーなサイケデリック・ムービーを、『スキャナー・ダークリー』ではフィリップ・K・ディック原作によるSF映画をリリースしてきたリチャード・リンクレイター。

スキャナー・ダークリー [Blu-ray]

ヤクルト宮本選手ばりの守備範囲の広さが彼の魅力だが、『スクール・オブ・ロック』ではジャック・ブラックと組んで、破天荒なコメディー映画にチャレンジしている。

映画では気弱な教師のネッドを演じているマイク・ホワイトが、本作のシナリオを担当(実生活でもジャック・ブラックと親交が深いらしく、『ナチョ・リブレ 覆面の神様』の脚本も手がけている)。

自己中心的な振る舞いからバンドをクビになった男が、お金欲しさに名門私立小学校の代用教員になりすますものの、持ち前のロック・スピリッツが蘇って、生徒たちとロック・バンドを組んで賞金2万ドルのコンテストに出場しようとする、というお話。

このような痛快ロックンロール・コメディーであれば、カメラが360°回転するとか、角度のあるアングルショットを多用するとか、かなりエキセントリックな演出に傾倒しがち.

しかし、ただでさえエキセントリックなジャック・ブラックが爆裂演技を全開するとなれば派手な演出は不要と計算したのか、リチャード・リンクレイターは驚くほどオーソドックスな演出でストーリーを転がせていく。

生徒たちにせがまれてジャック・ブラックがノリノリで『in the end of time』を歌うシーンなんぞ、カメラが少しずつ後ろへパンするだけの長廻しだし、クライマックスの『School of Rock』を熱唱するシーンでも、あまりカットを割らずにライヴの熱狂を描出している。

それにしても、AC/DCの『For Those About To Rock (We Salute You)』にインスパイアを受けたであろうオリジナル・ナンバー『School of Rock』、すっごいイイ曲ですよね。お恥ずかしながら、子供たちがノリノリで演奏しているシーンには、自分ちょっと泣いてしまいました。

子役達の音楽コンサルタントを務めたのは、かのジム・オルークらしいが、アバンギャルド最前線の彼がこういう映画に関わっていることに、理由もなくちょっと嬉しくなってしまう。

DATA
  • 原題/School of Rock
  • 製作年/2003年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/108分
STAFF
  • 監督/リチャード・リンクレイター
  • 製作/スコット・ルーディン
  • 製作総指揮/スコット・アヴァーサノ、スティーヴ・ニコライデス
  • 脚本/マイク・ホワイト
  • 撮影/ロジェ・ストファーズ
  • 音楽/クレイグ・ウェドレン
  • 美術/ジェレミー・コンウェイ
  • 編集/サンドラ・アデーア
CAST
  • ジャック・ブラック
  • ジョーン・キューザック
  • マイク・ホワイト
  • サラ・シルヴァーマン
  • ジョーイ・ゲイドス・Jr
  • ミランダ・コスグローヴ
  • ケヴィン・クラーク
  • レベッカ・ブラウン
  • ロバート・ツァイ
  • マリアム・ハッサン
  • ケイトリン・ヘイル
  • アレイシャ・アレン

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