行け!稲中卓球部/古谷実

行け!稲中卓球部(1) (ヤングマガジンコミックス)

中坊の性春を、驚異的なテンションと突き抜けた「下ネタ」でメジャー化

ただひたすらダラダラダラダラしまくり、オナニーに明け暮れる日々。イケてない中坊の虚しいグラフティが、『行け!稲中卓球部』(1993年〜1996年)にはある。

「そうだ、これが性春なのだ!!」と開き直った負のパワーは、バカのエントロピーを沸騰点にまで高めてしまう。ったくコイツラの頭の中って、おっぱいのことばっかしじゃん。

おっぱいおっぱいおっぱいおっぱい。ああ、何と甘美な響き。俺も昔モテない卓球部員だったから、気持ちが分かるぜ。でも人前で裸にはなんなかったぞ。

ブスは生きる価値なしだし、美人は性欲を満たす対象でしかない。女性フェミニストであらせられる田島ヨーコ先生なら、マジキレしそうな展開ではあるのだが、はっきりいってこの年代の野郎連中なんて、みんなこんなもんよ。

くるりが『男の子と女の子』(2002年)で歌っているように、いつも「男の子は女の子のことをいつも考えている」のだ。女性諸君が考えているようなロマンチックなものではなく、オス丸出しの思考でね。

ベストオブくるり/ TOWER OF MUSIC LOVER
『ベストオブくるり』(くるり)

前野や井沢といった変態キャラから発散されるダークなオーラ。歯止めのきかないスカトロ&暴力描写。本質的にはジメジメした陰湿な笑いである中坊の性春を、驚異的なテンションと突き抜けた「下ネタ」でメジャー化してしまったこのマンガは、ある意味時代的な作品である。怒濤のように繰り出される「バカ」の嵐には、僕なんぞは思考停止状態でクラクラしてしまったが。

すぎむらしんいちの『超・学校法人スタア学園』(1994年〜2000年)など、ダメ人間を許容するマンガが溢れていたこの時代にあって、『行け!稲中卓球部』は、まさにその真打ち的存在だった。

超・学校法人スタア學園(1) (ヤングマガジンコミックス)
『超・学校法人スタア學園』(すぎむらしんいち)

ダメ人間がヒーローになるのではなく、ダメ人間が更正するのでもなく、ただただダメ人間のダメっぷりを描く。読者の拒否反応を見越した上であえてこの作品を描いたのだとすれば、たしかに古谷実は時代を的確に捉えていた作家だった。

DATA
  • 著者/古谷実
  • 発表年/1993年〜1996年
  • 掲載誌/週刊ヤングマガジン
  • 出版社/講談社
  • 巻数/全13巻

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