
ポップカルチャー系ライター 2025年4月の日記
4月1日(木)
えーーーーもう4月なの。早すぎるって。このままじゃ早死にしてしまう(体感として)。
『関心領域』とか『教皇選挙』とか、日本人には漢字四文字タイトルがインパクトあって良しという意見をXでいくつか見かける。ということは『チャレンジャーズ』は『挑戦者達』、『ロボット・ドリームズ』は『機械乃夢』にすればもっとヒットしたんだろか。
4月2日(金)
朝から請求書対応。
タランティーノ脚本、デヴィッド・フィンチャー監督で『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』続編を撮るって相当な衝撃なニュースが飛び込んできた。ひょっとしたらタランティーノは監督引退後も脚本家として第二の黄金期を迎えるのかも。

夜、Eテレでスイッチインタビュー「坂元裕二×新海誠」を見る。坂元裕二の「写真みたいに、見たこと聞いたことをテキストで再現したい」、新海誠の「もっと嫌われるものを作るべきなんじゃないか」という発言が個人的ハイライト。
4月3日(土)
ヴァル・キルマーが亡くなった。『ヒート』のマフィア役は本当にカッコ良かった。ご冥福をお祈りします。R.I.P

4月4日(日)
RIP SLYMEが8年ぶりに5人体制で再始動するんだってさ。わしゃRIP SLYMEよりもHALCALIに復活していただきたい。皆さんはHALCALI好きですか。僕は好きです。っていうか大好きです。超好きです。「昭和の美空ひばり、平成のHALCALI」とまで言い切っていいものと妄信してます。嘘です。
あと、『裸の銃(ガン)を持つ男』をリーアム・ニーソン主演でリブートするらしい。リーアム先輩は仕事しすぎだし、仕事選ばなすぎ(褒めてる)。
4月5日(月)
原稿を書いたり。書かなかったり。
4月6日(火)
Blake Millsをプロデューサーに迎えたPerfume Geniusの『Glory』を聴く。ゴツゴツした骨太インディーロックと思って聴いてたら、M-5「Left For Tomorrow」あたりから内省的なサウンドに変化して、次第にエクスペリメンタルな衣をまとっていく。どんどん内面世界にINしていくような感じ。
あとは、ベルリンベースのDJ兼プロデューサーLOGIC1000による、名門レーベル!K7の名盤MIX企画『DJ-Kicks: Logic1000』とかを聴く。キャッチーなハウスから離れ、ダーク・アンビエント系のMIXが並んでる。このサウンドの質感はジャスト好み。ついついヘビロテしてしまう。
4月7日(水)
広末涼子が交通事故を起こして、搬送された病院で看護師にけがをさせて逮捕されたらしい。アメリカ留学中に友達から貰った広末涼子の生写真を見せて「彼女、俺の元カノ」と嘘をつきまくっていた自分としては、彼女のことは他人事じゃない。彼女にとっては他人事ですけど。
夜はリーアム・ニーソン主演『プロフェッショナル』をオンラインで視聴。これ結構オススメ。『誘拐の掟』とか『ラン・オールナイト』とか“地味だけどめっちゃ面白いリーアム・ニーソン映画”の最新ver。イーストウッドと長年タッグを組んできたロバート・ロレンツが監督をしているだけあって、話も人物造形もイーストウッドみがある。キアラン・ハインズやコルム・ミーニーなど、渋いおじいちゃんのご尊顔が楽しめるのもマル。
4月8日(火)
TOHO CINEMAS日比谷で、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』。全クリエイター必見。自分の作品に価値を見出すことができなくても世界を変える可能性はあるというポジティブな創作論、そして逆に想像力が世界を闇に覆い尽くすこともあるという警告。とんでもなく良く出来てる。
続いて『ピース・バイ・ピース』鑑賞。既存の音源を組み合わせるヒップホップと、ピースを組み立てるレゴの相性が抜群。インタビューやPVやTV出演のヒトコマを入れる伝記映画の王道をやればやるほど、レゴ映画として面白い。音が光として見える共感覚をまんまレゴでビジュアライズしているのも楽しい。ファレル・ウィリアムスの戦略勝ち。スヌープ・ドッグとかケンドリック・ラマーとかジャスティン・ティンバーレイクがレゴ出演しているのも面白いけど、びっくりしたのが監督がドキュメンタリー映画「バックコーラスの歌姫たち」のモーガン・ネヴィルであること。マジで今後ミュージシャン伝記レゴ映画がスタンダードになるかも。
そのあとヒューマントラストシネマ有楽町で『天国の日々』。同じテレンス・マリックの『地獄の逃避行』と比較すると、人間の内面には敢えて踏み込まない散文詩的な語り口が際立つ。サン・サーンスの「動物の謝肉祭」が使われるのは、人間の営みを戯画的に描こうとする意図があるのかも。マジック・アワー映画の頂点。
4月9日(水)
『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』試写。20世紀を代表する報道写真家リー・ミラーをケイト・ウィンスレットが熱演。ナチスドイツの暴力と男性の性加害を同時並行で描きつつ、最後は戦争の悲劇を目の当たりにしていくという構成に妙味あり。マリオン・コティヤール、アレクサンダー・スカルスガルドと共演陣が異様に豪華。
そのあとTOHO CINEMAS六本木で『エミリア・ペレス』。麻薬王がトランスジェンダー女性になって生まれ変わろうとするが、結局過去と自分自身からは逃れられないという、若干レ・ミゼラブルみのある話。そう考えるとミュージカル仕立てなのも納得。抜群に面白いけど、後半の展開と人物造形が少々モヤる。
帰宅後、広末涼子1stアルバム「ARIGATO!」を20年ぶりに聴く。岡本真夜、竹内まりや、原由子、奥居香とソングライター陣が神すぎる。編曲は藤井丈司、バックコーラスに鈴木祥子とゴスペラーズ、浜口茂外也や小倉博和や沖山優司も演奏に参加。
ちなみに個人的ヒロスエ・ベストトラックは、このアルバム収録曲じゃないけど、やっぱ「ジーンズ」ですかね。作曲・編曲は朝本浩文。渋谷系末期のダイナマイトチューン。
4月10日(木)
原稿書き書き。夕方から銀幕にポップコーン『片思い世界』スタジオ収録。まさか銀幕で坂元裕二を扱う日が来るなんて。山田さんから「坂元裕二は逆クリストファー・ノーラン」の名言が飛び出す。
4月11日(金)
Bon Iver「SABLE, fABLE」がリリースされたのでさっそく聴く。チェンバーロックやトラッドフォークやゴスペルを祝祭的な光で包み込み、唯一無二のポップミュージックに昇華。ジャスティン・ヴァーノンの美しいファルセットが柔らかな弦楽器の音色に溶け込んでる。「I’ll Be There」なんてもうプリンスじゃんね。
夜、Eテレのスイッチ坂元裕二×新海誠EP2を見る。若くして脚本家デビューした坂元を僕は手塚治虫と重ねていたのだが、「10時間分書いて2時間に切ったら濃いドラマになる」という発言を聞いて、400ページの「来るべき世界」のために1000ページ書いた手塚エピソード思い出してやっぱり!ってなった。
4月12日(土)
4月18日にリバイバル公開されるエドワード・ヤンの『カップルズ』をオンラインで視聴。夜はYouTubeの収録。
4月13日(日)
ちょっくら愛媛までひとり旅。飛行機で一路松山へ。まずは愛媛の郷土料理・鯛めしを食べようと思い、かどや大街道店へ。釜めしタイプではなく、ダシを鯛をごはんに混ぜて食べるひつまぶしスタイル。美味しゅうございました。

温泉にさして興味がない僕でも、さすがに愛媛に来たら道後温泉には行くっしょ!ってことでド定番スポットへ。その道すがら、湯築城の城跡・道後公園があったので、ちょっくら寄ってみる。亀さんがたくさんおった。

やってまいりました、道後温泉。ていうか、神の湯とか神の湯二階席とか霊の湯三階個室とか、こんなに料金プランが細かく分かれているのか。僕が購入したのは、「霊の湯二階席」という2000円のコース。歴史の重みを感じたけど、意外にお風呂が小さくてびっくり。

今日からYouTubeでコーチェラのライヴが配信されてたので、夜はご飯食べながらクレイロのパフォーマンスを見たりする。我らが広島カープが巨人に三連勝したことだし、今日は良い日。
4月14日(月)
仕事が溜まっていたので、ホテルの周りを散歩して、あとはホテルで原稿書き。ホントにライターって世界中どこにいてもできる仕事だな。
4月15日(火)
バスに乗って今治まで足を伸ばす。自転車を借り、来島海峡大橋を渡ってしまなみ海道サイクリングをしようと思ったのだが、この日はあいにくの雨で気温もめっちゃ低く、ちょこっと走っただけであとはだいたいサンライズ糸山で雨宿りしてた。残念。

4月16日(水)
昨日と打って変わって今日は快晴。ゴンドラに乗って松山城へ。高所恐怖症の僕にはなかなかのホラー体験。軽く食事したあと、そのまま松山空港に向かって飛行機に乗り、夜中に帰宅。

4月17日(木)
ニコラス・ウィンディング・レフン × 小島秀夫のコラボ展「SATELLITES」のアーティストトーク&内覧会@PRADA青山店へ。一番前の真ん中の席にドカンと座ったので、レフンとヒデオの御尊顔を近距離で拝めました。ニコラス・ウィンディング・レフンは日本語わかんないし、小島秀夫はデンマーク語がわかんないから、てっきりふだんは英語でやりとりしているのかなと思ったら、気に入った画像や音楽データを貼って送りつけるという、非言語的コミュニケーションをしてるっのが面白かった。めっちゃアーティストっぽいわ。

帰宅後、原稿書き。
4月18日(金)
早朝になんとか原稿納品。仮眠して、六本木に移動。『マインクラフト/ザ・ムービー』を鑑賞。とどのつまり、『ジュマンジ』+『ロード・オブ・ザ・リング』+『スクール・オブ・ロック』。エマ・マイヤーズ、可愛い。ジャック・ブラック、尊い。ジェイソン・モモア、愛おしい。でも、それだけでしかない。
そのあと『岸辺露伴は動かない 懺悔室』試写。漫画の中でも指折りに変なエピソードを、よくぞ映像化したものだと感動。ダッチアングルとか仰角ショットとか実相寺昭雄みのある構図もキレキレだし、高橋一生は相変わらずカッコいい。絵として眼福な一本。
主演:ライアン・ゴズリング、監督:ショーン・レヴィのコンビで、『スター・ウォーズ/スターファイター(原題)』が2027年5月28日に全米公開されるらしい。『スターファイター』って響きを聞くと、僕のようなおじさんはあの80年代カルトSFを思い出してしまうのですよ。
4月19日(土)
ただひらすらダラダラしてた。神様ごめんなさい。
4月20日(日)
Discordで仲良くなったD氏と渋谷で待ち合わせてお茶。そのあと映画ジャンキー会の飲みに合流。
蓮沼執太が手がけた『デザインあneo』のサントラを聴いてる。電子音がグリッド状に配置されたコーネリアスのコンセプトは踏襲したうえで、彼らしい温かみのあるテクスチャになってるのが良き。
4月21日(月)
ローマ教皇フランシスコが88歳で死去。うわ、リアルな教皇選挙が始まるじゃんか。
いつもゲリラ的に作品をサプライズ・リリースするSAULTの新作『10』を聴く。M-4「P」のチャック・レイニーみたいなベースラインがイカす。
夜はオンライン打ち合わせ。ZOOMで喋るの久しぶりだわ。
4月22日(火)
『Mr.ノボカイン』試写。ある目的のため主人公の身体がどんどん変容していくという意味では、デミ・ムーア主演の「サブスタンス」と近いものを感じてしまった。主演のジャック・クエイドの父親デニス・クエイドは、「サブスタンス」に出演していたし。そういや悪役のレイ・ニコルソンはジャック・ニコルソンの息子だから、キャスティングから作品論を考えられる映画なのかも。ボンクラ映画館主宰のichiさんと会場でお会いしたので、そのあとちょっくらご飯。
これまでどんな音楽を聴いてきたかとか、どんなサントラが好きなのかとか、どのような意識で自作の劇伴を考えているとか、映画監督に音楽について掘り下げたインタビューのシリーズやってみたら面白いと思うんだけど、どこか手を挙げてくれる媒体はないものか。なんてことをぼんやり考える。
4月23日(水)
朝に原稿を納品。Netflix版『新幹線大爆破』を見る。うわ、これはちょっとアレな出来なのでは。壮大なJR東日本PR映画でしかない。そのあとは移動して太田出版の会議室で番組収録。わりといい感じで喋れた。
マイブラ日本に来るらしいね。気になるけどチケット代が高すぎて、ライヴでお馴染みの轟音コーナーが延々続いたら「コスパに合ってねー」ってせせこましい気持ちになりそうなので、今回はパスします。
4月24日(木)
山下敦弘監督の傑作青春映画『リンダ リンダ リンダ』が8月にリバイバル上映されるというニュース。楽しみ。このときのペ・ドゥナは神がかり的に可愛かった。
4月25日(金)
すみだトリフォニーホールで中村佳穂LIVE。やっとこの人のパフォーマンスを生で見れた。本当に全身が音楽の筋肉でできているというか、息を吸うようにピアノを奏でるというか、これだけ楽しそうに歌う人も珍しい。個人的には「そのいのち」を皆んなで歌えただけで幸せ。至福の時間。

帰宅後、テレビ東京でやってた「津田篤宏と文学」をTverで見る。「名探偵津田」に続く名作の予感。
4月26日(土)
長野からT氏が東京来襲。うわー会うのは10年ぶりくらいかも。いつも仲良くしてもらってありがとうございます。と言う訳で、友人の竹見さんと一緒に池袋でご飯。おじさん三人で映画話しながら中華をモリモリ食う。
4月27日(日)
大宮エリーさんが病気のため逝去されたという衝撃ニュース。享年49歳。若い。若すぎる。
4月28日(月)
原稿納品。ほっとしてボーとしてたら、吉本興業が令和ロマン・高比良くるまの契約終了を発表してた。何をしとんねん吉本!
4月29日(火)
ヒューマントラストシネマ渋谷で『終わりの鳥』。余命いくばくもない少女とその母親が、死を司るオウムと対峙する奇想天外ストーリー。でも実はものすごく普遍的な母娘のヒューマンドラマだったりして、ベタとシュールの混交にクラクラさせられる。Ice Cubeの「It Was a Good Day」を歌うセンスが最高。
そのあと『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』鑑賞。ちょっとびっくりするくらい凄い映画だった。全てのショットが神々しくて、全てのショットに魔法がかかっている。これだけ演出に痺れた日本映画は『悪は存在しない』以来かも。大九明子恐るべし。
4月30日(水)
仕事!仕事!仕事だー!!!!!!!!























