2025年5月
大根仁監督が、坂本慎太郎のキャバレー・ニュー白馬LIVEを16mmで撮影したNetflix独占ライヴフィルムを鑑賞。超絶カッコよかった。『リバースエッジ 大川端探偵社』のOPを彷彿とさせる昭和ノスタルジー。官能と退廃と猥雑。ビル・エヴァンスの『Waltz for Debby』ばりに客の声が入り込む生々しさ。
アンゴラ出身のアーティストNazarの新譜『Demilitarize』を聴く。Prefuse73を思わせるカット&ペーストなコラージュ感と、「攻殻機動隊」にインスパイアされたというメランコリックなダーク・アンビエントがアッセンブル。次第にドス黒い闇が解き放たれていくような構成も見事。
DjRUM6年ぶりのアルバム『Under Tangled Silence』も聴く。頑張って作った音源がハードディスクの故障で損失し、心機一転イチから作り直したという、ポスト・クラシカルな楽曲集。やっぱ大切なファイルはクラウドに上げないとアカンね。
なんだか巷では、宇多田ヒカルが『Mine or Yours』で「令和何年になったらこの国で/夫婦別姓 OK されるんだろう」というリリックが話題になってるらしいが、個人的にはこのテーマを直裁に扱ったことよりも、明らかにリズムにハマらない歌詞を力技でサウンドに乗せてしまうフロウに驚愕した。こんな芸当ができるのは、彼女以外いないのでは。
夜、金曜ロードショーの『君たちはどう生きるか』をダラ見。今さら気付いたけど、マヒトと『となりのトトロ』のカンタって同じ小学校6年生なのか。マヒトが大人すぎるのか、カンタが子供すぎるのか。
もうサラリーマンじゃないからゴールデンウィークとかマジで関係ないんだけど、なんかそれっぽいことをしてみたいと思い、『ガンニバル』シーズン2を見始める。今のところ吉岡里帆の出演時間が信じられないくらい短い。
『ガンニバル』シーズン2完走。1は典型的な村ホラーだったが、2はゴアな戦争+一揆ドラマ。津山三十人殺しエレクトリカルパレードver.や橋爪功のマッドぶりも凄かったが、過去パートのスカパラ谷中敦がハマりすぎ。そっちが狂ってるならこっちも狂うしかねぇんだよ!
原稿書き書き。夜はマクガイヤーチャンネルでリブート版『新幹線大爆破』回の収録。なんだかいつもよりドクターがノリノリだった。
日曜日にやっていたザ・ノンフィクション「ひきこもって37年 母と息子の小さな食卓」鑑賞。かつて実家パラサイト生活を送っていた僕としては、刺さりすぎる内容。52歳まさきさんが影響を受けたという、横山SAKEVI(G.I.S.M.)を今さら聴き始めてみたり。
早くも今年2枚目となるMen I Trustのニューアルバム「Equus Caballus」を聴く。まさかのフレンチポップ路線だった前作に比べて、王道なベッドルームポップに原点回帰。
朝から請求書発行作業。そのあと新宿に移動して、TOHO CINEMAS新宿で『サンダーボルツ*』。虚無感、孤独、トラウマを抱えた負け犬たちのOnce Againストーリー。今の世界状況と照らし合わせると、ロシアとアメリカのはみ出し者が力を合わせるという設定も攻めてる。世界が闇に覆われるというのは、もはや抽象表現じゃない。
続いて『アマチュア』鑑賞。銃が撃てない即席スパイ、非情になりきれない007という設定が最高にイカしてる。アクションは控えめに、相手の一手先をいく頭脳戦に舵を切ったタッチも良き。ジョン・バーンサルの扱いはやや不満なれど、スパイ・アクションとして上々の出来。
帰宅後、ポカリスエットのCMで使われてるSTUTSのニューシングル「99 Steps (feat. Kohjiya, Hana Hope)」を聴く。ビートもフロウもぜんぶ気持ちいいアゲ曲。なんかよく分からんけど真っ青な空に向かって全力疾走したくなる。しないけど。
濱口竜介の次回作が、宮野真生子さんと磯野真穂さんの共著『急に具合が悪くなる』を元にした作品になるとのこと。主演はヴィルジニー・エフィラで、配給はビターズ・エンド。楽しみ。
原稿を納品。Wilcoの『The Whole Love』のExpanded ver.がリリースされていたことを知り、慌てて聴く。オリジナルが出たの、もう15年くらい前なんだなあ(遠い目)。
あとは、SNSで大沢たかお祭りを堪能する一日。
『選挙と鬱』試写。水道橋博士の参院選出馬に密着した映画。最高に面白い選挙ドキュメンタリーであり、還暦レジェンド芸人の青春映画であり、心の病気に向き合った記録であり、そして《裏》三又又三ムービーだった。最後に青柳監督が博士に投げかける言葉が胸アツすぎる。鑑賞後は軽く水道橋博士と青柳拓に挨拶。そのあと、会場に来ていたマクガイヤーさんと一緒に1時間ほどお茶。
別れたあとユーロスペースでレオス・カラックスの『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』鑑賞。僕にはNot For Meでした。すいません。帰宅してひたすら原稿書き。
コンクラーベ、けっかーはっぴょー。新ローマ教皇にアメリカ出身のプレボスト枢機卿が選出され、レオ14世と名乗ることに。ますます映画『教皇選挙』がアクチュアルなものになったなあ。
なんか全然原稿がはかどらない。締切直前にならないとエンジンがかからないの、なんとかならんもんか。
André 3000のニューアルバム『7 piano sketches』を聴く。文字通り静謐なタッチが楽しめるソロピアノ集だけど、後半になると笑い声や薄い電子音やビートが刻まれていくから、ボーカルレスのヒップホップアルバムみたいなノリある。そりゃ元OutKastだもん。
夜、集中力をアップさせて原稿書き。
朝に原稿納品。渋谷ユーロスペースまで『トレンケ・ラウケン』を見に行ったが、睡眠不足が災いして半分以上寝てしまった。やっちまった。
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』試写。「本当にイーサン・ハントは過去と対峙しているのか?」ということに少々モヤる。
映画ライターの偉大なるパイセン・村山章さんにお会いしたので、あとで落ち合う約束してお茶しに行こうと思ったら、今度はポッドキャスト「ボンクラ映画館」のichiさんに遭遇。一緒にコーヒーを飲んだあと、村山さんと再合流して、ウェンディーズで駄話を3時間ほど。ワシらヒマやな。
原稿を納品。星野源ニューアルバム『Gen』を聴く。まさに異世界混合大舞踏会のようなアルバム。彼の音楽的関心が触覚のようにニョキニョキ伸びてフュージョン〜ハウス〜AORにアクセス。手数が多いドラミングとか複雑なコード進行とかポップソングとは言い難い曲もあるのに、ちゃんとポピュラリティを堅持してる。最初はテクスチャーが掴めなかったけど、何十周も聴き続けてようやく僕の身体に音楽が染み渡ってきた。
『サブスタンス』に向けて、コラリー・ファルジャ監督の前作『REVENGE リベンジ』やクローネンバーグの過去作を少しだけ見返したり。映画仕事って、関連作を見たり資料を漁ったり、執筆する前の準備にホント時間がかかる。
銀幕にポップコーン『サブスタンス』回の収録。2人だけの収録はいつも緊張する。そのあと原稿書き、無事納品。
途中から『THE SECOND』見始める。決勝、僕的にはツートライブよりも囲碁将棋だったんだけどな。
びっくりするくらいに非生産的な一日だった。神様ごめんなさい。
東中野で打ち合わせ。久々にポレポレ東中野併設のカフェ「ポレポレ坐」に入ったよ。そのあと帰宅して原稿書き。
X眺めたら、向井秀徳に背負い投げされたとかラップバトル仕掛けられたとかのポストが流れてくる。下北沢って凄い街だな。
原稿を納品。日比谷に移動して『メガロポリス』試写。「時よ止まれ」というファウスト的主題を、永遠に映画を創り続けたいというコッポラ老人の妄執に変換して、混沌と狂乱と絢爛の宴に仕立て上げてしまった、おそらく2025年最大の異色作。ただ静かに頭を垂れて圧倒されるしかない138分。
その後ヒューマントラスト有楽町で『クィア』。ウィリアム・S・バロウズの自伝的小説を、ルカ・グァダニーノが映画化するんだから一筋縄ではいきません。ミステリアスな青年アラートンにゾッコンなダニエル・クレイグがひたすら可愛い、マジック・リアリズム的『ベニスに死す』。バロウズの著作はいつかちゃんと読まないといかんな。
たまのアルバムがサブスク解禁ということで、『オゾンのダンス』を鬼リピ。北千住に移動して、友人の岡本さん主催の映画トークイベント参加。芸大で演劇を学んでいる方とお話する機会を持てて嬉しかった。
ようやく『Sinners』が日本公開決定。ワーナーさんありがとう。公開日の6/20は『Mr.ノボカイン』、『28年後』、『メガロポリス』も封切りされるというたまらんラインナップになった。
ようやっとNetflixドラマ『ゼロデイ』観る。なかなかよくできた政治スリラーだと思うが、神経ガスのくだりがあんまりドラマに寄与していない気も。
15年ぶりとなるStereolabの新作『Instant Holograms On Metal Film』を聴く。感涙。そのあとはせっせと原稿書き。
一日YouTubeを眺めてて、夜はYouTube番組の収録。どんだけYouTube好きなんだ俺。
8月15日に金曜ロードショーで『火垂るの墓』が放送されるニュースにびっくり。1989年に初めて「火垂るの墓」がTV放送されたときは20.9%の視聴率を記録したものの、2010年代以降は2013年9.5%、2015年9.4%、2018年6.7%と視聴率1ケタ台に。Netflixでの配信も決定して、もう民放では観れないと思ってたら、6年ぶりに、しかも8月15日に放送されるとは。日テレ英断!
日比谷で『でっちあげ』試写。いつもの三池崇史節が唸る血みどろホラーと思ってたら、冤罪事件に真正面から向き合った正統派社会映画だった。視点によってキャラクターが変わる是枝裕和『怪物』的構造を有した作品だが、三池崇史が手がけていることで綾野剛も柴咲コウも並外れたサイコキャラに見えてしまう。冤罪事件を扱った作品なのに、不穏な三池タッチがそれを凌駕しているのが独特すぎ。そのあと自宅に戻って原稿書き。
そういえば、『教皇選挙』が10億円突破のヒットを記録したらしい。なぜここまでヒットしたのかは僕も全然理由が分からないのだが(僕が行った劇場も満員だった)、この20年間で興収10億円を突破したのが『最強のふたり』『英国王のスピーチ』と知って、単純にローマ教皇とか英国王とかに興味があるのかなと雑な感想を抱いてしまった。
原稿納品。新宿に移動して、新宿武蔵野館で『無名の人生』。未曾有の映像体験。光と闇と青春と老いと戦争と暴力と孤独と絶望と愛と無軌道と神とパンデミックと家族が描かれていて、ラストはほとんど『オネアミスの翼』のよう。2025年暫定ベスト。あ、そういや『無名の人生』のディスプレイがええ感じでしたよ。武蔵野館、グッジョブ!(上から目線)

続いて『新世紀ロマンティクス』鑑賞。過去作の未使用フッテージを使って、20年にわたる都市の変遷と女性の人生を描くという発想がものすごい。公私共にジャ・ジャンクーのミューズであり続けたチャオ・タオ主演だからこそできる作劇。
そのあと友人の岡本さんと合流して四文屋で飲み。さらにそのお友達も合流して、新宿の街を練り歩く。なんか青春じゃん!
原稿書き。その合間に、僕がいま地上波で一番好きな番組『ひっかかりニーチェ』をチェック。くるまが戻ってきてくれて嬉しい。そして『アメトーク』の個人事務所芸人回を見て、今後の自分の生き方をいろいろ考えてみたり。
マクガイヤーチャンネルでも紹介されていた『渇愛』やNetflix『罵倒村』を鑑賞したり、hashimotosanさんやKunさんや暇じゃない暇人さんなど、信頼できる方々がこぞって大絶賛しているCarolineの『Caroline 2』を聴いたり。このアルバムは本当に素晴らしかった。美しい混沌。祝福と安らぎ。実験的で瞑想的。ロンドンのミステリアスな8人組が、2ndアルバムにして20年代インディフォークを確実に代表する傑作をリリース。フォーク・ミュージック・リバイバルの最終形態。
原稿書き。夜は渋谷のCAFE:MONOCHROMEに移動して、トークイベント「歴コワ映画の会」を拝見。『ガール・ウィズ・ニードル』と『デビルズ・バス』の宣伝担当の方による解説を伺う。実は日付を間違えて前日にお店に行ってしまったことは内緒です。
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