『ロヌレラむ』2005なぜオタクの朜氎艊映画は戊争の熱を倱ったのか

『ロヌレラむ』2005
映画考察・解説・レビュヌ

5 OKAY

『ロヌレラむ』2005幎は、第二次䞖界倧戊末期を舞台に、極秘兵噚“ロヌレラむ・システム”を搭茉した朜氎艊の運呜を描く戊争SF映画。 日本の敗戊間際、若き乗組員たちは祖囜の未来を懞けお海底を進むが、圌らを埅ち受けるのは人間の理性ず狂気、そしお“第䞉の原爆”蚈画だった。

朜氎艊の䞭のアニメヌション──「珟実なき戊争」の颚景

「オタクの、オタクによる、オタクのための朜氎艊映画」ず評される『ロヌレラむ』2005幎は、たさに2000幎代日本映画における特異点だった。

監督・暋口真嗣、コスチュヌムデザむン・出枕裕、コンテ協力・庵野秀明、さらに抌井守たでもが参加するずいうスタッフ構成が瀺すのは、ひず぀の“映像的共同幻想”の顕珟である。

戊埌日本のアニメヌション文化が、実写ずいう噚においお再構築された瞬間。スクリヌン䞊に浮かび䞊がるのは、もはや朜氎艊ではなく、アニメヌション的想像力そのものだった。

ピ゚ヌル瀧が砲匟を発射するそのカット割りは『宇宙戊艊ダマト』の波動砲そのものであり、銙怎由宇の包垯のようなコスチュヌムは『゚ノァンゲリオン』の綟波レむの亜皮にほかならない。

そこには戊争の写実も軍事の珟実も存圚しない。ただ“蚘号ずしおの戊争”が反埩される。その意味で『ロヌレラむ』は「戊争映画」を装ったアニメヌション的儀匏だった。

綟波レむ、ガンダムの残響

銙怎由宇が挔じるヒロむン・パりラは、戊堎における霊媒のような存圚だ。圌女はラバヌを巻き付けた身䜓で朜氎艊に乗り蟌み、粟神感応によっお敵の動きを察知する。

圌女が気絶するたびに、物語の重力は歪み、珟実は神経的なノむズに満たされおいく。粟神ず肉䜓、兵噚ず少女、科孊ずオカルト。その境界線が融解しおいくさたは、たさに“綟波レむの亡霊”がこの映画に宿っおいるこずを瀺す。

庵野秀明がコンテ協力ずしお参加しおいるのも偶然ではない。『゚ノァンゲリオン』が提瀺した「ヒロむンの自壊人類の芚醒」ずいう構造を、暋口真嗣は朜氎艊ずいう閉鎖空間に移怍したのだ。

だがその暡倣はどこか異様に硬質で、血の通わないフィギュア的質感を垯びおいる。銙怎由宇の肉䜓はあくたで象城であり、物語のための“蚘号”ずしおのみ機胜する。圌女が泣き、苊しみ、気絶するたびに、芳客は「感情」ではなく「構造」を芋る。

この䜜品の背埌には、明確に『機動戊士ガンダム』の系譜が流れおいる。原䜜者・犏井晎敏自身がガンダムのノベラむズ『タヌン゚ヌガンダム』を手がけた熱狂的ファンであり、富野由悠季がカメオ出挔しおいる事実がそれを物語る。

だがより本質的なのは、『ロヌレラむ』が“ニュヌタむプ神話”を再挔しおいるこずだ。堀真䞀挔じる浅倉倧䜐は、シャア・アズナブルの倉奏ずしお描かれる。

圌は日本を砎壊し、第䞉の原爆によっお“遞ばれし民族”を生み出そうずする。぀たり戊争を人類進化の觊媒ずみなし、砎壊による浄化を信じおいるのだ。

その察立項ずしお、圹所広叞挔じる絹芋艊長が存圚する。圌は人呜を尊重し、理念よりも珟実を遞び取るアムロ的存圚ずしお配眮されおいる。この構図はそのたた『逆襲のシャア』の最終察決を反映したものだろう。

「地球䞊に残った人類などは地䞊のノミだ」ずいうシャアの蚀葉が、浅倉の台詞に反響しおいるかのようだ。犏井が描こうずしたのは、戊埌の倫理を越えおなお繰り返される“遞民思想の亡霊”であり、オタク的神話の暎走圢態だった。

戊争なき戊争──シミュレヌションずしおの終末

『ロヌレラむ』には、火薬の匂いも硝煙の湿床も存圚しない。あるのは、戊争の“再珟”であっお、戊争そのものではない。぀たりこの映画は、戊堎を䜓隓した䞖代の映画ではなく、戊争を「知識」ずしお継承した䞖代による暡倣的シネマなのだ。

だからこそ、すべおの戊闘はシミュレヌション的で、議論は机䞊の空論に終わる。艊長ず倧䜐の察立は、実際の血肉を持たず、思想実隓のレベルにずどたる。これは『ガンダム』を通じお戊争を“疑䌌䜓隓”した䞖代の宿呜ずいえる。

぀たり『ロヌレラむ』は、アニメ的戊争芳が実写映画に転写された最初の䞖代的到達点であり、同時にその限界の露呈でもある。戊争が「描かれるもの」から「匕甚されるもの」に倉わった時、映画は生々しさを倱い、蚘号の反埩装眮ず化しおしたう。そこに流れる冷気こそ、本䜜の最倧の違和感であり、同時に最倧の魅力でもある。

結局のずころ、『ロヌレラむ』には“熱”がない。70幎代の日本映画が持っおいた、瀟䌚を焌き尜くすような情念や怒りはどこにも芋圓たらない。

そこにあるのは、構造ずしおの戊争、思想ずしおの犠牲、そしおデザむンずしおの砎壊。暋口真嗣の映像は掗緎され、犏井晎敏の脚本は敎然ずしおいる。

だがそれはあくたで“よくできた暡型”ずしおの完成床であり、生々しい人間の声は聞こえおこない。血ず汗ず泥にたみれた戊争映画ではなく、枅朔なガラスケヌスの䞭で動くプラモデルのような映画。それが『ロヌレラむ』の宿呜だったのだ。

70幎代映画の異垞なたでの生呜力──『日本沈没』や『野獣死すべし』が持っおいた、時代の狂気そのもの──は、ここには継承されなかった。『ロヌレラむ』は、アニメ文化の成熟ず匕き換えに、日本映画が倱った“熱”の墓碑銘ずしお存圚しおいる。

DATA
  • 補䜜幎2005幎
  • 補䜜囜日本
  • 䞊映時間128分
  • ゞャンルアクション
STAFF
  • 監督暋口真嗣
  • 脚本鈎朚智
  • 補䜜亀山千広、臌井裕詞、垂川南
  • 補䜜総指揮島谷胜成、関䞀由、千草宗䞀郎、倧月俊倫、甘朚モリオ
  • 原䜜犏井晎敏
  • 撮圱䜐光朗
  • 音楜䜐藀盎玀
  • 線集奥田浩史
  • 矎術枅氎剛
  • 録音鶎牧仁
  • 照明枡邊孝䞀
CAST