即効性はテキメン、いつ何時でもトリップ可能。レトロフューチャーなエレクトロニカ
デビュー・アルバム『Music Has The Right To Children』(1998年)のジャケを見たら、100人中99人くらいはフラワームーブメント華やかりし頃の、60’sのサイケデリック・アルバムだと思うんじゃないだろうか。
しかしその正体は、意外にもレトロフューチャーなエレクトロニカ。いや、有機的かつメランコリックなIDMと言うべきか。
スコットランド・エジンバラ出身のマイク・サンディソン、マーカス・イオンによる2人組ユニットのボーズ・オブ・カナダは、もはやエレクトロニカ・シーンのワールド・スタンダードと断言し得る存在なのである。
カンタンにプロフィールを紹介しておこう。’80年代中期、当時からコツコツと実験的な音楽を製作していたマイク・サンディソンとマーカス・イオンが運命的な出会いを果たす。
映像と音楽を融合させたパーティーを開き、地元で有名な存在に。’95年、プライベート・レーベルからリリースした『Twoism』がautechreのショーン・ブースの目に止まり、翌年skamレーベルで『hi scores』をドロップ。
’98年には名門のワープ・レコーズと契約を交わし、発売されたアルバム『Music Hasthe Right to Children』が世界的な注目を浴びる…。
ちなみにBoards of Canadaという一風変わったユニット名は、2人がファンだったという『National Film Boardof Canada』というドキュメンタリー番組から採用されたとか。
深淵でエモーショナルな音の混紡が、世界のこちら側とあちら側をゆっくり行き交うような感覚を覚えさせる、独特のアンビエンス。
音素そのものが複雑怪奇化し、もはや人外魔境に突き進んでいるとしか思えないAutechreなんかよりも、ダンゼン僕はこっちをリコメンドします。
傑作揃いの『Music Has The Right ToChildren』のナンバーのなかでも、特に12曲目に収録されている『Aquarius』は特に至高の逸品。シンプルかつ清涼なビートにのって、はしゃぐ子供達、数をカウントする女性、「Orange(?)」とつぶやく男性の声が精妙にミックスされている。
即効性はテキメン、いつ何時でもトリップ可能。家でひたすらゴロゴロしたい時には必聴の一曲なり。
- アーティスト/Boards Of Canada
- 発売年/1998年
- レーベル/Warp
- Wildlife Analysis
- An Eagle In Your Mind
- The Color of The Fire
- Telephasic Workshop
- Triangles & Rhombuses
- Sixtyten
- Turquoise Hexagon Sun
- Kaini Industries
- Bocuma
- Roygbiv
- Rue The Whirl
- Aquarius
- Olson
- Pete Standing Alone
- Smokes Quantity
- Open The Light
- One Very Important Thought
- Happy Cycling (Bonus Track)
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