We Are The Night/ケミカル・ブラザーズ

時空を超えた音のコラージュ。クラブとスタジオを繋ぐ実験の記録

ケミブラは1996年から2008年頃まで、『Electronic Battle Weapon』と銘打ったクラブDJ向けのプロモ限定12インチシングル・シリーズを制作していた。

これは公式アルバム収録前のトラックを正式リリースする前に、音響・アレンジ・構成の有効性をダンスフロアで検証するために制作されたもの。当然通常のレコード店や一般流通では入手できず、クラブDJや一部のレコードショップ経由で配られていた。

アルバム収録曲の初期バージョンや長尺ミックスが多く、ファンの間では略して「EBW」と呼ばれていたお宝アイテム。そして彼らの6thアルバム『We Are the Night』(2007年)には、「EBW8」収録曲を編集したM-4「Saturate」が収録されている。

これは、ケミカル・ブラザーズの2人がクラブとスタジオの距離を限りなく近づける制作哲学を持っていると同時に、これまでの歴史・歩みをこの一枚に瞬間パックさせたいという気持ちがあったものと推察する。

それはまるで、時間を横断する音のコラージュ。サンプリングでの過去との対話。トム・ローランズは、インタビューでこう語っている。

We always like to explore and push things more … I want a bit of wrongness in our music. … The idea of creating a journey and a flow of music is still something we spend months and months on.

僕たちはいつも、物事を探求し、もっと押し進めたいと思っている。…音楽の旅と流れを創り出すというアイデアは、今でも何カ月も何カ月も費やしていることなんだ。

2人は80年代のマンチェスターやミネアポリスのダンスシーン、そして2007年当時のロンドンの空気感を再構築することを目指したという。ノスタルジック×現代の融合。

ウィリー・メイソン、クラクソンズ、アリ・ラブ、インディー・ロック・バンド「ミッドレイク」のティム・スミスなどの面々が揃った本作は、イントロやアウトロが長く、DJが他曲とつなぎやすいフロア仕様。

かつてのようなど直球ビッグビートというよりは、ミニマルで反復性の強いトランス・ミュージックという感じ。個人的にはあまりこの方向性にハマっていなくて、あまり聴き込んでいないアルバムではあるのだが(すいません)、たぶん僕が全面的に悪い。いつか良さが理解できるように修行します。

DATA
  • アーティスト/Chemical Brothers
  • 発売年/2007年
  • レーベル/Freestyle Dust
PLAY LIST
  1. No Path to Follow
  2. We Are the Night
  3. All Rights Reversed (feat. クラクソンズ)
  4. Saturate
  5. Do It Again (feat. アリ・ラブ)
  6. Das Spiegel
  7. The Salmon Dance (feat. Fatlip)
  8. Burst Generator
  9. A Modern Midnight Conversation
  10. Battle Scars (feat. ウィリー・メイソン)
  11. Harpoons
  12. The Pills Won’t Help You Now (feat. ミッドレイク)
  13. Clip Kiss (Japanese bonus track)
  14. Silver Drizzle (Japanese bonus track)