2026/6/21

『急に具合が悪くなる』(2026)考察/解説レビューをリアルサウンドに寄稿しました

急に具合が悪くなる[DVD]

『急に具合が悪くなる』が描く“確率”という運命論への抵抗 濱口竜介が映した“関係性”」という考察/解説レビューをリアルサウンドに寄稿しました。

哲学者の宮野真生子と、医療人類学者の磯野真穂による共著『急に具合が悪くなる』は、宮野ががんの転移を告げられた直後から始まる往復書簡集だ。

2人のやり取りの根底にあるのは、確率や効率ばかりがもてはやされる現代のシステムに対する、大きな疑問である。書籍の中で磯野は、医師から告げられる「〇〇パーセントの確率」といった数値に欺瞞を感じると記している。10パーセントであれ90パーセントであれ、事象は常に「起こる」か「起こらない」かのどちらかでしかない。

それなのに、確率という数字は、まるであらかじめ人生の分岐ルートが決まっていて、自分を俯瞰してコントロールできるかのような錯覚を抱かせる。「急に具合が悪くなる」という現実の前に立たされたとき、我々は分岐ルートを選ぶゲームをしているのではなく、後戻りできない一本の道を手探りで歩いているに過ぎないのだ。

ぜひご一読ください!

濱口竜介 監督作品レビュー