『ルックバック』の考察/解説レビューをクイック・ジャパン・ウェブに寄稿しました

「なんで描いてるの?」劇場アニメ『ルックバック』は創り手の背中を押す傑作か? <嫉妬が怨念と化した自分>を描く覚悟と、その先の讃美歌」という考察/解説レビューをクイック・ジャパン・ウェブに寄稿しました。

『ルックバック』は、嫉妬と才能の物語だ。学年新聞で4コママンガを描いてる小学4年生の藤野(河合優実)は、自分の画力に絶対の自信を持っている。だがある日、不登校の同級生・京本(吉田美月喜)が描いたマンガの完成度に圧倒され、初めて敗北感を味わう。

彼女の心を深くエグったのは、「京本の絵と並ぶと藤野の絵ってフツーだな」という同級生男子のセリフ。マンガでも藤野がこの言葉を思い出して絶望感に苛まれるというカットがあるが、アニメではこのセリフがより露悪的で挑発的な喋り方になっており、京本の絵にザワつく生徒たちの数が不自然なくらいに増殖するという、イヤーな妄想シーンも追加されている。監督の押山清高は、藤野の暗黒心象風景をよりブロウアップさせて、彼女の絶望をまざまざとスクリーンに焼き付ける。

「4年生で私より絵がウマい奴がいるなんて、絶っっ対に許せない!」

嫉妬に燃える藤野は参考書を買い揃え、イチから絵を勉強し直す。朝も昼も夜も、雨の日も風の日も、毎日毎日描き続ける。だがそれでも、京本のマンガは常に藤野のはるか先を行っていた。残酷なまでに白日の元に晒される、才能の差。藤野はすっぱりとマンガを諦め、友達とアイスを食べに行ったり、姉と一緒に空手教室に通ったり、普通の小学生として日々を過ごすようになる。

ぜひご一読ください!

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