『ツイスター』(96)といえば牛。牛といえば『ツイスター』。今から28年前、劇場でこの映画を目撃した者は、牛が竜巻で吹き飛ばされていく場面が脳裏に焼きついていることだろう。強烈すぎるビジュアルのインパクト。巨大トルネードに立ち向かう観測チームの姿を描いた『ツイスター』は、間違いなく90年代を代表するパニック・ムービーである。
監督を務めたのは、『スピード』(94)や『トゥームレイダー2』(03)を手がけたヤン・デ・ボン。脚本を務めたのは、『ジュラシック・パーク』(93)の原作小説を書き、『ウエストワールド』(73)や『未来警察』(84)の監督・脚本でも知られるマイケル・クライトンと、当時の妻だったアン=マリー・マーティン。製作総指揮を務めたのは、我らがスティーヴン・スピルバーグ。スペクタクル超大作にふさわしい鉄壁の布陣によって、脅威の竜巻映画が完成した。
だがヤン・デ・ボンは、非常に興味深いコメントを残している。米メディアVultureのインタビューによれば、マイケル・クライトンがシナリオ執筆にあたって参考にしたのは、ハワード・ホークス監督の『ヒズ・ガール・フライデー』(40)だというのだ(*1)。テニスにおけるラリーの応酬のように、ケーリー・グラントとロザリンド・ラッセルが丁々発止のやりとりを繰り広げる、スクリューボール・コメディの傑作。『ツイスター』の骨格を成していたのは、実は軽妙洒脱な会話劇だったのである。
ぜひご一読ください!
最近のコメント