『ブルータリスト』の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『ブルータリスト』さかさまの十字架、さかさまのアメリカ ※注!ネタバレ含みます」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

ホロコーストを生き延びたハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)が、アメリカに渡り、人生を賭けてコミュニティセンターの建築に取り組んでいく。映画『ブルータリスト』(24)は、まさしく巨大建造物のような作品だ。

プロローグ+第1章が100分、インターミッションが15分、第2章+エピローグが100分。合計215分に及ぶ壮大なる叙事詩は、完璧な時間の対称性によって、美しい調和が保たれている。そして、ラースローが図書館、劇場、体育館、礼拝堂からなる複合施設を設計したように、このフィルムには宗教、政治、国家、家族、愛、暴力、狂気といった様々なファクター=部屋が精緻に配置されている。建築という主題が、構造としても用いられているのだ。

『ブルータリスト』というタイトルは、ブルータリズム(Brutalism)と呼ばれる建築様式に由来している。モダニズム運動から派生したこのスタイルは、いっさいの装飾を排し、コンクリートやガラスなどの素材をそのまま用いることで、機能的・有機的な美しさを追求した。だがその先進的な表現は、古典主義を重んじる人々から嫌悪の対象となる。

ぜひご一読ください!

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