「『教皇選挙』はバチカンの闇を見つめたサスペンスである」という考察/解説レビューをotocotoに寄稿しました。
本年度アカデミー賞において8部門にノミネートし、脚色賞を受賞した『教皇選挙』が3月20日に公開される。レイフ・ファインズ主演で描かれる本作は、前作 Netflix『西部戦線異状なし』でアカデミー賞作曲賞を受賞したエドワード・ベルガー監督の最新作である。次なる権力者が選ばれる中でうごめく思惑と図られる陰謀。カトリックの総本山で繰り広げられる政治闘争を舞台に我々の価値観を揺さぶってくる本作の魅力を語りたい。
第一次世界大戦の真っ只中、西部戦線に送り込まれた若いドイツ軍兵士を描いた『西部戦線異状なし』(2022)に続いて、エドワード・ベルガー監督は再び戦争映画に取り組んだ。描かれたのは砲弾が飛び交う物理的な戦争ではなく、駆け引きと戦略の心理的な戦争。それが『教皇選挙』(2024)だ。本作は、バチカンを舞台に様々な思惑が交錯する極上のスリラー映画だ。
カトリックの最高指導者ローマ教皇が心臓発作で急逝し、新たな教皇を決定するコンクラーベのために、100人を超える枢機卿たちがバチカンに集結。有力候補は、リベラル派のベリーニ(スタンリー・トゥッチ)、同じくリベラル派で選出されれば初めてのアフリカ系教皇となるアデイエミ(ルシアン・ムサマティ)、厳格な保守派のテデスコ(セルジオ・カステリット)、穏健保守派のトランブレ(ジョン・リスゴー)の4人。リベラルと保守による戦いの火蓋が切って落とされる。
ぜひご一読ください!
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