「『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』バベルの塔をモチーフにした、非暴力的バイオレンス映画」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。
殴る。蹴る。殴る。蹴る。真利子哲也監督の代表作『ディストラクション・ベイビーズ』(16)の主人公・泰良(柳楽優弥)は、理由もなく無軌道に暴力を繰り返す。人間関係の軋轢がある訳でも社会的な不満がある訳でもなく、そこに論理的な説明は何も存在しない。ただ「殴りたいから殴る」という、衝動そのものの連鎖がある。
彼の内面には、ぽっかりと空いた空洞のようなものが横たわっていて、その空虚さを埋める手段として、他者を痛めつける行為を選んでいるかのようだ。泰良というキャラクターは、暴力を通してしか“生”を感じることができない、極めて不穏な存在なのである。
続く『宮本から君へ』(19)では、主人公・宮本(池松壮亮)が理不尽な状況を突破するために、拳を振るう。愛する者を守るために、自らの身体を犠牲にしてでも戦う姿は胸アツだ。しかしそれは、決して英雄的な正義ではない。歯が折れ、血にまみれ、全身が傷だらけになりながら突き進む宮本の姿は、むしろ人間の無力さや不完全さをさらけ出している。
ぜひご一読ください!
作品情報
スタッフ
キャスト
真利子哲也 監督作品レビュー
- Dear Stranger ディア・ストレンジャー(2025年/日本、台湾、アメリカ)
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