『ホーンテッドマンション(2023年版)』の考察/解説レビューをリアルサウンドに寄稿しました

“乗る恐怖”から“見る物語”へ 『ホーンテッドマンション』が挑んだ映画的仕掛け」という考察/解説レビューをリアルサウンドに寄稿しました。

ディズニーランドの人気アトラクション「ホーンテッドマンション」は、乗客が“ドゥームバギー(死の車)”と呼ばれる黒いライドに乗り込み、幽霊屋敷を巡る体験型ホラーだ。ゲートをくぐると、肖像画が伸び上がる「ストレッチングルーム」で不気味な歓迎を受け、揺れるシャンデリアやダンスホールを抜けて、999人の幽霊たちと遭遇する。

実際に体験したことのある人ならわかるだろう。あの館は恐怖を煽るためではなく、観客を幻想の内部へと誘い込むために設計されている。むしろ感じるのは、現実の重力から解き放たれるような陶酔感。「ホーンテッドマンション」は、恐怖を“見る”ものではなく、“体験する”ことそのものを目的としている。その没入の仕掛けこそが、1969年のオープン以来、半世紀以上にわたって来場者を魅了してきた理由なのだ。

このライド感を、映画というメディアに移植するのは非常に難しい。観客が座席に固定された状態では、アトラクションの没入感を再現するのはほぼミッション・インポッシブルだからだ。しかし、ジャスティン・シミエン監督は無謀にもこのライド感にチャレンジ。2003年の映画版から20年、彼の手によってリメイクされた新しい『ホーンテッドマンション』(2023年)は、登場人物の造形からストーリー構成に至るまで、アトラクション的世界観が映画的文法へと再設計されている。

ぜひご一読ください!