2025/11/17

『君の顔では泣けない』(2025)考察/解説レビューを映画チャンネルに寄稿しました

会話も仕事もズレたまま揃う…映画『君の顔では泣けない』、芳根京子×高橋海人が見せた圧倒的演技とは?考察&評価レビュー」という考察/解説レビューを映画チャンネルに寄稿しました。

高校1年生の夏、同級生の坂平陸と水村まなみは、プールに落ちたことがきっかけで突然〈入れ替わる〉。この設定だけで、多くの観客は『転校生』や『君の名は。』のようなファンタジー的・SF的展開を予測することだろう。性差による少年・少女たちのドタバタ青春劇を想像することだろう。

だが監督の坂下雄一郎は、「入れ替わりの話だからといってコメディにはしない」とインタビューで明言している。映画『君の顔では泣けない』が焦点を当てているのは、設定そのものではなく、入れ替わったあとに生き続けることのリアリティ。凡百の作品なら、試行錯誤の末に自分の身体を取り戻す方向へ物語を進めるところだが、ふたりはその後15年間も他者の身体で生きるという状況に置かれ続ける(人生の半分が入れ替わった状態!)。

大人になった陸は“まなみ”として女性の身体に向けられる社会的期待や視線に適応し、まなみは“陸”として男性としての役割や振る舞いを余儀なくされる。本作が示しているのは、性別が変われば生き方の前提が根底から変化するという、現代社会の硬直性。心と身体が一致しないまま社会に適応しようとするふたりの姿は、物語上の仮構を借りて、現実の“性不一致”が直面する困難を照射しているようでもある。

ぜひご一読ください!

作品情報
  • 製作年/2025年
  • 製作国/日本
  • 上映時間/123分
  • ジャンル/ドラマ
スタッフ
キャスト
坂下雄一郎 監督作品レビュー