2025/12/4

『MEMORIES』(1995)の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『MEMORIES』個人・社会・国家の記憶を紡ぐ、爆裂オムニバス映画」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

大友克洋は、“記憶”の作家だ。

彼の物語では、個人の感情よりも、むしろ場所そのものが背負ってきた記憶が、都市や人間の振る舞いを決定してしまう。初期の代表作「童夢」(連載:80-81 単行本:83)は、表層的には超能力者同士の対決を描くバトル・アクション。しかし、集合住宅という空間が抱え込んだ暴力の残滓が、サイキック老人・チョウさんと共振するように膨張していく描写には、都市そのものが記憶を帯び、歪んだ形で噴き出すという構造がすでに立ち現れている。

代表作「AKIRA」(連載:82-90)にも、過去の蓄積が現在を縛り続けるという構図がみられる。舞台となるのは、第三次世界大戦から復興の途上にある2019年のネオ東京。オリンピックの開催が目前に迫り、復興の象徴として建てられた巨大スタジアムは、未来を指し示すランドマークだ。国家は華やかなイベントによって記憶の上書きを図るが、その奥底には、国家が隠蔽してきた人体実験の痕跡が沈殿している。「AKIRA」における能力の暴走は、忘却したはずのトラウマが都市を揺り戻すという、“記憶の回帰”として立ち上がってくるのだ。

ぜひご一読ください!

作品情報
  • 製作年/1995年
  • 製作国/日本
  • 上映時間/113分
  • ジャンル/アニメSF
スタッフ
キャスト
大友克洋,森本晃司,岡村天斎 監督作品レビュー