「「『アン・リー/はじまりの物語』魂の救済を求めて歌い踊る祈りのミュージカル」という考察/解説レビューをotocotoに寄稿しました。
ミュージカル映画というジャンルは、謎のキッカケが存在する。
例えば、『ウエスト・サイド物語』(1961)。血の気の多い不良ギャング同士が一触即発の縄張り争いを繰り広げている最中、なぜか全員でパチンッと指を鳴らし、息ピッタリの優雅なジャンプをキメる。『ロシュフォールの恋人たち』(1967)では、ただ道を歩いているだけの人々が突如として足並みをそろえ、自然にステップを踏み出して日常を華やかな祝祭へと変えてしまう。
『ラ・ラ・ランド』(2016)では、ハイウェイの大渋滞に巻き込まれた人々が一斉に車から飛び出し、カラフルな衣装でボンネットの上を跳ね回りながら大合唱。感情のバロメーターを振り切ったキャラクターたちが、その有り余るエネルギーの発露として歌いまくり、踊りまくるのが、このジャンルの基本構造なのである。
だが、『アン・リー/はじまりの物語』のアプローチは、次元が違う。本作で描かれるのは、張り裂けんばかりの魂の震えと、霊的なエネルギーの表出だ。心の叫びが激しい痙攣となって、肉体を激動させる。感情が昂ったから歌うのではない。神と繋がり、魂を救済するための祈りが、結果として地を這うような歌と狂乱のダンスとなるのだ。
ぜひご一読ください!
作品情報
スタッフ
- 監督/モナ・ファストボールド
- 脚本/モナ・ファストボールド、ブラディ・コーベット
- 製作/アンドリュー・モリソン、ジョシュア・ホースフィールド、ヴィクトリア・ペトラニー、モナ・ファストボールド、ブラディ・コーベット、グレゴリー・ジェンキレビッチ、クラウディア・シュミエヤ=ロストボロフスカ、リリアン・ラサール、マーク・ランパート
- 撮影/ウィリアム・レクサー
- 音楽/ダニエル・ブルンバーグ
- 編集/ソフィア・スベルカソー
- 美術/サミュエル・ベイダー
- 衣装/マウゴザータ・カルピウク
キャスト
モナ・ファストボールド 監督作品レビュー
- アン・リー はじまりの物語(2025年/アメリカ、イギリス)
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