2026/8/25

『ナイトボーン -夜哭-』(2026)の考察/解説レビューをotocotoに寄稿しました

ナイトボーン -夜哭-[DVD]
「我が子が怪物に見える」北欧ホラー『ナイトボーン -夜哭-』が描く”あるべき母親像”という呪縛」という考察/解説レビューをotocotoに寄稿しました。

完璧な家族像にひそむ同調圧力を、独特すぎるタッチで暴き出した長編デビュー作『ハッチング -孵化-』(2022)。フィンランドの鬼才ハンナ・ベルイホルム監督が、続く長編第2作『ナイトボーン -夜哭-』(2026)で挑んだのは、社会が押し付ける”あるべき母親像”を解体することだった。

物語の原点は、監督自身の出産体験にある。昼夜問わず泣き叫ぶ我が子を前にして、心に湧き上がったのは激しい怒り、途方に暮れるような混乱。母となったリアルな感情を、北欧神話とフィンランドの土着信仰に絡めてダークホラーに昇華させたのが、この作品なのだ。

舞台となるのは、フィンランドの深い森にポツンと建つ古い屋敷。主人公のサーガ(セイディ・ハーラ)とイギリス出身の夫ジョン(ルパート・グリント)は、この大自然の中で新しい生活をスタートさせる。監督が「あの家はサーガとジョンの関係性を象徴している」と語るように、この屋敷のたたずまいそのものが、夫婦の危うい現在地を表している。腐りかけた床をカーペットで覆い隠し、根本的な問題から目を背けて見栄えだけを取り繕う。偽りの平穏を保とうとする二人の虚勢が、この空間に表象されている。

ぜひご一読ください!

ハンナ・ベルイホルム 監督作品レビュー