ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)は、1930年12月3日フランス・パリ生まれ(スイス国籍)の映画監督・脚本家・批評家。2022年9月13日没。享年91歳。
1950年代末、ヌーヴェルヴァーグ(新しい波)の旗手として登場し、20世紀映画の文法を根底から書き換えた革新者である。
長編デビュー作『勝手にしやがれ』(1959年)では、ハンディカメラと自然光を駆使し、即興的な撮影とジャンプカットによって従来のハリウッド映画の形式を解体。続く『女は女である』(1961年)や『気狂いピエロ』(1965年)では、色彩・音楽・引用を自在に組み合わせ、映像を詩的断章として再構築した。
60年代後半以降は政治的関心を強め、『中国女』(1967年)や『ウィークエンド』(1967年)で資本主義と映画産業を批判。メディアと革命の関係を探る実験的作品群へと移行した。70年代の「ジガ・ヴェルトフ集団」活動を経て、80年代には映像と哲学、記憶とテクストを融合させた『パッション』(1982年)や『映画史』(1988–1998年)を発表。
晩年も『アワー・ミュージック』(2004年)、『イメージの本』(2018年)などで独自の映像言語を追求し続けた。映画を“語るもの”から“考えるもの”へと変貌させた思想家であり、世界映画史における最も急進的で詩的な革命家である。