『オリエント急行殺人事件』の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『オリエント急行殺人事件』アガサ・クリスティ原作映画の真打的作品 ※注!ネタバレ含みます。」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

「わたしにとっては、ミステリーがサスペンスであることはめったにない。たとえば、謎解きにはサスペンスなどまったくない。一種の知的なパズル・ゲームにすぎない。謎解きはある種の好奇心を強く誘発するが、そこにはエモーションが欠けている。しかるに、エモーションこそサスペンスの基本的な要素だ」(*1)

“サスペンスの神様”アルフレッド・ヒッチコックは、名探偵がトリックを解き明かすような推理モノを「サスペンスではない」(映画的ではない)と一刀両断し、否定的な立場をとっていた。そもそもサスペンスという言葉は、宙吊りを意味するsuspend(サスペンド)に由来している。「精神が宙ぶらりんな状態」=「不安が持続している状態」こそがサスペンスの本質。単なる謎解きでは、観客のエモーションを揺さぶることはできん!と巨匠はおっしゃっているのである。

だがヒッチコックの信条とは裏腹に、映画史において推理小説は常に映像化される素材であり続けてきた。特に“ミステリーの女王”アガサ・クリスティ作品は、超人気コンテンツ。古くはルネ・クレール監督の『そして誰もいなくなった』(45)やビリー・ワイルダー監督の『情婦』(57)、そして最近ではケネス・ブラナーが主演・監督を務めた『ナイル殺人事件』(22)など、その枚挙にいとまがない。

数あるアガサ・クリスティ原作映画の中でも、真打的作品と言えるのは『オリエント急行殺人事件』(74)だろう。スター俳優が大挙出演して、アメリカ国内で3,500万ドルの興行収入を挙げる大ヒット。第47回アカデミー賞では、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞、撮影賞、作曲賞、衣装デザイン賞の6部門でノミネートされ、イングリッド・バーグマンが助演女優賞を受賞した。

ぜひご一読ください!

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