アガサ・クリスティー代表作を映画化した、オールスターキャスト・ミステリーの先駆け
『オリエント急行殺人事件』(1974年)の何がスゴイってアナタ、とにかく出演者の顔ぶれがスゴイ。
- アルバート・フィニー
- ローレン・バコール
- リチャード・ウィドマーク
- ショーン・コネリー
- ジャクリーン・ビセット
- アンソニー・パーキンス
- イングリッド・バーグマン
- ヴァネッサ・レッドグレーブ
- マーティン・バルサム
等々。このメンバーだけでアカデミー賞をいくつ獲得しているんだろう、という豪華さである。
しかしミステリー映画において、オールスターキャストは重要な要素なのだ。なぜなら、一人だけ有名俳優がキャスティングされていたら、九分九厘そいつが犯人役だからである。
役者なんてものはワガママだから、有名になると探偵役か犯人役がやりたいとダダをこねるんである。『犬神家の一族』(1976年)など、市川崑版の金田一耕助シリーズなんて、配役をみただけで、容易に犯人が分かってしまったものだった。
だから、これだけの役者があつまると一人だけワガママもいえないもんだから、観ている方も犯人が誰だか分からない。推理映画の鉄則である。
原作はミステリーの女王、アガサ・クリスティーの代表作。オリエント急行という密室内で殺人がおきる。犯人は列車の中にいるに違いない。名探偵エルキュール・ポワロは灰色の脳細胞をフルに回転させ、12人の容疑者のなかから真犯人を探りだしていく…。
このシチュエーション、何かに似ていると思ったら、同じシドニー・ルメット監督の『十二人の怒れる男』(1957年)だった。
「密室という限定された空間」の中でのディスカッション・ドラマに優れた手腕を発揮する彼ほど、この作品にうってつけの監督もいなかったのだろう。
ディスカッションドラマが得意ということは、役者を動かすのがうまいという事だ。一癖も二癖もある役者陣を統率するには、彼の起用は成功だったのではないか。
巧みにフラッシュバックを多用し、観客に事件経過を伝えるのも、観客には嬉しい親切な演出。実は意外なほど少ない推理映画(おそらく本格推理物という題材は、映画的でないのかもしれない)の中で、真打ち的なポジションを占めているといっても過言ではないだろう。
- 原題/Murder On The Orient Express
- 製作年/1974年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/128分
- 監督/シドニー・ルメット
- 製作/ジョン・ブラボーン、リチャード・グッドウィン
- 原作/アガサ・クリスティ
- 脚本/ポール・デーン
- 撮影/ジェフリー・アンスワース
- 音楽/リチャード・ロドニー・ベネット
- アルバート・フィニー
- ローレン・バコール
- マーティン・バルサム
- イングリッド・バーグマン
- ジャクリーン・ビセット
- ジャン・ピエール・カッセル
- ショーン・コネリー
- ジョン・ギールグッド
- アンソニー・パーキンス
- ヴァネッサ・レッドグレイヴ
- レイチェル・ロバーツ
- リチャード・ウィドマーク
- ウェンディ・ヒラー
- コリン・ブレイクリー
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