天下の少年ジャンプで連載してしまったメガトン級のバカ漫画
ナンセンスとシュールには明確な差がある。シュール系ギャグ漫画の代表作といえば「伝染るんです。」だが、この作品ではギャグは淡々と語られ、その奇異さは日常的なレベルで捉えられていた。
しかし『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』(1995年〜1997年)では高いテンションで物語が構築され、そのオカしさは「マトモな人間代表」のふーみんによるツッコミによって成立する。ツッコミによって成立しているということは、その奇異は非日常的なレベルでとらえられているということだ。
ボケっぱなしで終わる『伝染るんです。』に対し、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』では古典的なボケ・ツッコミのフォーマットを保っているんである。これが僕の考えるナンセンスとシュールの定義である。
天下の少年ジャンプで、このようなナンセンス系(バカ系?)ギャグ漫画が連載した時はメガトン級の衝撃だった。
「努力・勇気・友情」の三大原則を笑いとばすこのトンデモ漫画は、「キング・オブ・コミック・マガジン」少年ジャンプの方向性を大きくネジ曲げてしまった作品でもある。
ストーリーもまさにアホの極み。県立わかめ高校に転校してきたフーミンは、セクシーコマンドーという武術を極めた男・花中島マサルと運命の出逢いをする。
やがて二人を中心にセクシーコマンドー部が結成され (マチャ彦、キャシャリン、スーザン、アフロ君)、ついには全日本セクシーコマンドーフェスティバル’96に初出場するに至る。そして何と準優勝(決勝はなんと棄権したから)!
セクシーコマンドー部のシンボルマークがなぜか「ごはん」だとか、マネージャーがヒゲ好きだとか、頭の悪い中学生レベルのギャグを何の臆面もなしに天下のジャンプで描けてしまうところに、このマンガの偉大さがある。すごいよ、うすた京介!何もキミを遮るものはない。我の信じる道を突き進め。僕に言えることはそれだけである。
…最後にセクシーコマンドー部の主題歌(なぜ主題歌があるのかは謎だが)を紹介してこの稿の筆を置こう。
セクシーコマンドー部 主題歌(原作詞・作曲/花中島マサル)
ダバサー サバディ~~
サバダッササンサンサバディ~
君かい? 唐獅子かい?
あ~~もう… 踊るぞこら!!!
走るのかい? え? スティックかい!!?
まずいだろ スティックは! ああ! やめろ!!
あ…!? あ…なんだ… そうそう それならよし…
笑うとき 歯グキを出すな
ヘイ ブラザー…セクシー コマンドー部…
- 著者/うすた京介
- 発表年/1995年〜1997年
- 掲載誌/週刊少年ジャンプ
- 出版社/集英社
- 巻数/全7巻
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