書籍という形態をとった「サカモト・オペレーティング・システム」
4年半に渡って坂本龍一を取材してきた編集者の後藤繁雄による、サカモト〈反〉評伝。坂本龍一というポップ・イコンは常に現在進行形の存在な訳で、それを自伝という「ある時間のなかに押し込める作業」に落とし込んでしまうことに後藤繁雄はためらいがあったのだろう。
政治、オペラ、戦争、経済と、とりとめなく綴られた「コトバ」の欠片には、「今、そこ」が一瞬にして凝固されたかのような感覚がある。
本人も「まだまだ続くプロジェクト」と語っているように、『skmt』は書籍という形態をとってはいるものの、今後もアップデートであろう「サカモト・オペレーティング・システム」の緻密なプログラムなのだ。
てな訳で、まるで『マルコヴィッチの穴』(2000年)のごとく、読み手も坂本龍一の脳内宇宙にダイレクトプラグインしたかのような感覚を受けること請け合い。地球のざわめきに共振し、世界の鼓動に耳をかたむける教授のグローバルな視点が鮮やかだ。サカモトマニアには垂涎の書だと思われます。
「ギャグを何かひとつお願いします」という問いに対し、「キミー、ドナイヤー?」という全くひどすぎるギャグ(本人もギャグになってないと反省しているようだが)をかましているんだけど、これ相当意味不明。アホアホマンばりにひどい。
- 著者/坂本龍一、後藤繁雄
- 発売年/1999年
- 出版社/リトル・モア
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