「彼は演技が下手くそだったから、成功しなかったんだよ」(*)
これは、ポール・トーマス・アンダーソンが父アーネストを冗談めかして語った一言。過度に突き放すわけでも、過剰に持ち上げるわけでもなく、父親を一人の人間としてフラットに受け止めるような、親子の独特な距離感がにじみ出ている。
アーネスト・アンダーソンは人気司会者として名を馳せたものの、俳優としては成功を収めることができなかった。PTAにとって彼は偉大な人物であると同時に、どこか不完全な人間でもあったのだ。この見方は、そのままアンダーソン作品における父性の描写に直結する。理想化された権威ではなく、欲望や欠点を抱え込んだ存在として。
PTA初期作品において、父性は欠落や歪みとして表出される。『ブギーナイツ』(97)や『マグノリア』(99)では、家族と信頼関係を築くことができず、実父不在のなかで擬似家族が形成されていく。特に『マグノリア』では、父の愛を得られなかった子どもたちが深いトラウマを抱え、その傷が連鎖していく様子が語られていた。
ぜひご一読ください!
- 原題/One Battle After Another
- 製作年/2025年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/162分
- ジャンル/アクション、スリラー
- 監督/ポール・トーマス・アンダーソン
- 脚本/ポール・トーマス・アンダーソン
- 製作/ポール・トーマス・アンダーソン、サラ・マーフィー、アダム・ソムナー、ジョアン・セラー
- 製作総指揮/ウィル・ワイスク
- 原作/トマス・ピンチョン
- 撮影/マイケル・バウマン
- 音楽/ジョニー・グリーンウッド
- 編集/アンディ・ユルゲンセン
- 美術/フローレンシア・マーティン
- 衣装/コリーン・アトウッド
- レオナルド・ディカプリオ
- ショーン・ペン
- ベニチオ・デル・トロ
- レジーナ・ホール
- テヤナ・テイラー
- アラナ・ハイム
- チェイス・インフィニティ
- ウッド・ハリス
- トニー・ゴールドウィン
- ワン・バトル・アフター・アナザー(2025年/アメリカ)
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