シー・アンド・ケイクがオルタネイティブな冒険を敢行したアルバム
『One Bedroom』(2003年)から、4年4ヶ月振りとなる7枚目のフル・アルバム『Everybody』(2007年)をリリースした、ザ・シー・アンド・ケイク。
2007年12月2日(日)に東京で来日公演すると聞き、僕は「これは何が何でも駆けつけねばならん!」とダイヤモンドの原石のごとく固い意志を抱き、何とかチケットを確保して、前会社同僚のO氏と共にいそいそと渋谷クアトロに馳せ参じた。
いやー実際カッコよかったですよ、ザ・シー・アンド・ケイク。サム・プレコップ、アーチャー・プレウィット、エリック・クラリッジ、ジョン・マッケンタイアのオジサマ方が、四者四様の出で立ちで登場し、熟成に熟成を重ねたコンビネーション・プレイを披露。フロアのオーディエンスを熱狂させた。セットリストはもうほとんど覚えていないのだが、やはり『Everybody』収録ナンバーがメインだったような記憶がある。
驚いたのが、シカゴ音響派と、ポスト・ロックといった文脈で語られる彼らの音楽が、実際に聴いてみると、意外にロックンロールしていたこと。ジェントルメンな雰囲気を醸し出しつつも、そのアタック感というか、テンション↑の高揚感は、ロック・ミュージック以外のなにものでもない。
実際、サム・プレコップはニューアルバム『Everybody』を評して、「今まで作ったアルバムの中で最もストレートかつ初心に立ち返ったような作品」と語ったそうである。
『One Bedroom』でエレクトロニカに傾倒したサウンドを、The Kinksのようなシンプルなロック・テイストに180度方向転換。
今までセルフ・プロデュースにこだわってきた彼らだが、本作ではベックやウィルコなどを手がけてきたブライアン・ポールソンを初めて外部プロデューサーとして起用するなど、新しい試みにも果敢に挑戦している。
『Everybody』はさらなる成熟ではなく、オルタネイティブな冒険を敢行したアルバムとして認知すべきアルバムなのだ。
- アーティスト/The Sea And Cake
- 発売年/2007年
- レーベル/Thrill Jockeye
- Up on Crutchese
- Too Stronge
- Crossing Linee
- Middlenighte
- Coconute
- Exact to Mee
- Lightninge
- Introducinge
- Left One
- Transparente
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