シカゴ音響派らしい、スマートなサウンド・プロダクションに原点回帰した一枚
ストレートなロックにシフトした『Everybody』(2007年)から、僅か1年という短いインターバルでリリースされたのが、ザ・シー・アンド・ケイクの『Car Alarm』(2008年)。
ジョン・マッケンタイア自身がプロデュースしていることもあってか、『One Bedroom』(2003年)のエレクトロニカなエッセンスも交えつつ、いかにもシカゴ音響派らしいスマートなサウンド・プロダクションに原点回帰した一枚に。
疾走感のあるギター・リフが印象的な、歯切れの良いロック・ナンバー『Aerial』で幕を開けるものの、続くM-2『A Fuller Moon』の柔らかなバンド・アンサンブルが示すように、『Nassau』(1995年)や『Fawn』(1997年)の頃のような、清涼感のあるポスト・ロックがアルバム全体のトーンを規定している。
その一方で、ヴァン・ダイク・パークスの『Discovery America』(1972年)からインスパイアを受けたというM-12『Mirrors』で、彼らにしては珍しくスティール・パンをフューチャーしたインスト・ナンバーを披露するなど、バラエティーに富んだアイディアが詰め込まれたアルバムにもなっている。
ザ・シー・アンド・ケイクという確固たるフレームからはみ出すことなく、しかしながら着実にサウンドを進化/深化させて、よりソフト&メロウに展開/転回を続ける彼ら。その歩みはまだまだ留まることを知らない。
…で、どーでもいいことですが、この『Car Alarm』、日本では坂本龍一主催のレーベルcommonsからリリースされてます。commonsって親レーベルがエイベックスな訳で、何だかものすごいことになってきました。
- アーティスト/The Sea And Cake
- 発売年/2008年
- レーベル/Thrill Jockey
- Aerial
- Fuller Moon
- On a Letter
- CMS Sequence
- Car Alarm
- Weekend
- New Schools
- Window Sills
- Down in the City
- Pages
- Staircase
- Mirrors
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