「<考察>『TAR/ター』をニューロティック・ホラーとして読み解く」という考察/解説レビューをcinemas PLUSに寄稿しました。
ケイト・ブランシェットはさるインタビューで、映画『TAR/ター』についてこんなコメントを残している。
「この映画はロールシャッハ・テストのようなもので、暗示しつつも決して確定されない情報に対して、人々がどのような判断を下すかを示しています」
ストーリーを乱暴にまとめてしまえば「世界から賞賛を浴びている音楽家が、その権力の座から滑り落ちていく物語」となる。だが、実際はそう単純ではない。監督を務めたトッド・フィールドは、限定的な視点で物語を紡ぐことを周到に回避している。明快に回答を打ち出すことを拒否している。ゆえに本作は抽象的で、観念的で、謎に満ちているのだ。
ケイト・ブランシェットが語る通り、この映画について語ることとは、ロールシャッハ・テストと同義なのだろう。個人の理念や社会的スタンスが、本作を通してあぶり出されてしまう。『TAR/ター』は怪物的作品であると同時に、ヘタをすれば炎上しかねない「触るな危険」映画なのである。
ぜひご一読ください!
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