スニーカーズ/フィル・アルデン・ロビンソン

スニーカーズ [Blu-ray]

「お腹がすいたら~♪」のCMでお馴染みのスナック菓子に非ず。

『スニーカーズ』(1992年)は、ロバート・レッドフォード、シドニー・ポワチエ、デイヴィッド・ストラザーン、ダン・エイクロイド、リバー・フェニックス、ベン・キングズレーというビッグネームを揃え、『フィールド・オブ・ドリームス』(1989年)で一躍スター監督に躍り出た、フィル・アルデン・ロビンソンを演出に迎えたビッグ・バジェット・ムービーである。

フィールド・オブ・ドリームス [Blu-ray]

民間会社のセキュリティーチェックを行うハイテク集団“スニーカーズ”が、NSA(国家安全保障局)からの要請を受けて、天才数学者が発明した正体不明のコンピュータチップを盗み出す。

しかし、実はソレが世界の運命を左右しかねない究極の暗号解読器であることが判明して…と、血沸き胸躍るサスペンス・アクション映画のプロットは踏襲しているんだが、全体的に春うららかのごとくノホホンとした雰囲気が漂っており、あまり「手に汗握る」という展開にはならない。

そもそも、ベン・キングズレー演じるコズモがさる犯罪組織の片腕という設定なんだが、それがどういう組織なのかが全く説明されず、「情報を制する者が世界を制覇する」という価値観も’92年の作品にしてはちょっとアナクロ。

リアリティーの確保という意味ではあまり頂けない感じ。「共和党は悪の枢軸である」みたいな描き方も、筋金入りの民主党支持者であるレッドフォードのイデオロギーをモロに反映していて、ちょっと気持ちが悪い。

まあマザー役でダン・エイクロイドが起用されていることにも明らかなように、基本戦略としてはウィットに富んだコメディーであらんとしたんだろう。

最後のジェームズ・アール・ジョーンズとのコミカルなやりとりにもそれは顕著だが、その比重が高ければ高い分だけ、スパイ・アクションとしてのリアリティーが希薄になってしまう、という矛盾も抱えてしまっている。

ちなみに、製作と脚本を務めているローレンス・ラスカーとウォルター・F・パークスは、映画『ウォー・ゲーム』のシナリオを手がけたコンビ。

コンピュータ制御下における防衛システムの脆弱性を暴いたこの作品(僕はけっこうこの映画好きだったんですが)は、’83年という時代には極めてヴィヴィッドに警鐘を鳴り響かせたが、それから10年後の新たな警鐘は、少々サビついてしまったようである。

DATA
  • 原題/Sneakers
  • 製作年/1992年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/122分
STAFF
  • 監督/フィル・アルデン・ロビンソン
  • 製作/ウォルター・F・パークス、ローレンス・ラスカー
  • 製作総指揮/リンズレイ・パーソンズ・ジュニア
  • 脚本/フィル・アルデン・ロビンソン、ローレンス・ラスカー、ウォルター・F・パークス
  • 撮影/ジョン・リンドレイ
  • 音楽/ジェームズ・ホーナー
  • 美術/パトリシア・フォン・ブランデンスタイン
  • 編集/トム・ロルフ
CAST
  • ロバート・レッドフォード
  • シドニー・ポワチエ
  • デイヴィッド・ストラザーン
  • ダン・エイクロイド
  • リヴァー・フェニックス
  • メアリー・マクドネル
  • ベン・キングズレー
  • ジェームズ・アール・ジョーンズ

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