“地球上の誰かがふと思った。人間の数が半分になったら、いくつの森が焼かれずにすむだろうか。地球上の誰かがふと思った。人間の数が100分の1になったら、たれ流される毒も100分の1になるだろうか。誰かがふと思った。生物の未来を守らねば……”
岩明均による傑作SF漫画『寄生獣』は、人類そのものが環境破壊を加速させる元凶であり、地球にとって有害種であることを、オープニングから提示する。そんな我々に罰を与えるかのように、宇宙から謎の生物が飛来。人間に寄生して神経を支配し、次々と人類を捕食する。脳への寄生をまぬがれた高校生・泉新一は、右手に寄生した相棒「ミギー」とともに、寄生獣たちと決死の戦いに挑んでいくのだった……。
この作品が画期的だったのは、人類 vs. 寄生獣という単純な二項対立に陥らせることなく、人類が地球に寄生するパラサイトであり、その人類にパラサイトする寄生獣との関係を通して、人間のエゴを炙り出した点にある。自らの生命維持のため、そして種の保存のため、人間は他の生命を奪って捕食するしかない。その業を背負いながら、どのように我々は別の生物たちと共生し得るのか。非常にハードなテーマを掲げた作品だった。
ぜひご一読ください!
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