【映画レビュー】少林サッカー／チャウ・シンチー

オールタイム・レベルの荒唐無稽さ。『アストロ球団』以来の衝撃を受ける究極のサッカー映画

もう茫然自失！

CGを駆使した驚くべき映像的快感、怒濤のように繰り出されるギャグの嵐。街なかで突然マイケル・ジャクソンの『スリラー』を踊り始めたり、摩擦熱でボールが燃えだしたり、その荒唐無稽さはもはやオールタイム・レベル。

「君はまだ、究極のサッカーを知らない」というのが本作のキャッチ・コピーだが、確かにこんなフットボール観たことないです。っていうか、こんなのサッカーじゃねーし！！

監督・脚本・製作・主演を務めたチャウ・シンチーは、梶原一騎的なスポ根要素をベースにしながらも、少林拳を極めた五人の兄弟を説得してサッカーに招き入れるあたりは、黒澤明の『七人の侍』（1954年）を軽くパクるなど、B級センス満開の演出ぶり。

香港ナンバーワン・アイドル、ヴィッキー・チャオにブサイクメイクを施して、スキンヘッドに剃髪させてしまう（しまいには火星人といわれる始末である）のもある意味勇気のいる決断だったろうが、結果は大成功。彼女のチャーミングな魅力が、この男臭いドラマの一服の清涼剤となっている。

バナナの皮で人で転ぶわ、蹴り上げたボールが壁にめり込むわ、チャウ・シンチーの放った竜巻シュートでGKの衣服は脱げるわ、直球ギャグを超高速的なテンポとカット割りで芸術的なレベルにまで高めてしまった『少林サッカー』。タランティーノも「ぶっちぎりに凄い映画だ！！」と絶賛のコメント。

まだ未見の紳士淑女の皆さんは、今すぐTSUTAYAにダッシュされることをオススメする。この映画には、『アストロ球団』以来の衝撃がある。

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