ピンクの豹/ブレイク・エドワーズ

ピンクの豹 [Blu-ray]

洒脱な音楽と、美男美女による恋の駆け引き。スマートなバカ騒ぎムービー

昔僕の家にピンク・パンサーのゴム人形があって、いつからソイツがやってきたのかはさっぱり覚えてないんだが(たぶん父親が買ってきてくれたんだろう)、子供の頃よく一人で人形遊びをしていたものだった。

っつー訳で、本家本元の映画も当然のごとくトム&ジェリー風カートゥーンだと信じ込み、父親に「レンタルビデオ屋で借りてきて!」と頼んで観てみたら、クルーゾー警部と名乗るアヤシイ親父が登場して、ケッタイな行動を起こす珍妙極まりない実写映画で、「こんなの『ピンク・パンサー』じゃない!」と泣いて親に抗議したことがある。うーむ若かったなあワタシも。しみじみ。

あれから数十年の時を経て今回『ピンク・パンサー』を見返した訳だが、いやー粗筋をわざわざ書くのもためらわれるぐらい、中身のない話ですね。

ダイヤモンド「ピンク・パンサー」を巡って、リゾート地のコルティーナ・ダンペッツォや首都ローマを舞台に、あれやこれやの大騒動が続く、ただそれだけ。しかし、どんなに中身のないバカ騒ぎムービーであっても、洒脱な音楽と、美男美女による恋の駆け引きさえあれば、映画なんて簡単に成立してしまうもの。

クラウディア・カルディナーレ演じるアラブの王女様は、こまっしゃくれたネコ科の身のこなしで男心をノックアウト。キャプシーヌは70年代モード全開で、大人の色気をまき散らして男心をくすぐりまくり。

そしてデヴィッド・ニーヴンは、イギリス紳士らしいスマートさを漂わせて、淑女のハートを釘付け。何かにつけ、転んだり滑ったり挟まったりしているピーター・セラーズは、ひたすらアヤシい。そのアヤしさ故か、セラーズ演じるクルーゾー警部は映画ファンから好評を博し、翌1964年にはスピンオフ映画『暗闇でドッキリ』が公開されている。

デヴィッド・ニーヴンが、軽やかなストックさばきで白銀を直滑降するシーンあたりも、ロケの魅力を存分に伝えるリゾート・ムービーっぽさが充分だが、まあ何と言ってもこの映画はヘンリー・マンシーニだろう。

かの有名なテーマ曲はもちろん、フラン・ジェフリーズが『今宵を楽しく』を歌い踊るシーンは、理屈抜きのエンターテインメント。マンシーニの奏でる音楽の垢抜けたポップ・センスが、この壮大なバカ騒ぎムービーと不思議な共振を果たしている(何せ、クライマックスがロケット花火の大乱射という映画ですよアータ)。

ちなみに監督のブレイク・エドワーズは、クルーゾー警部を主人公にしたスピンオフ・ムービー『暗闇でドッキリ』をはじめ、『ピンク・パンサー2』、『ピンク・パンサー3』、『ピンク・パンサー4』、『ピンク・パンサーX』、『ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ』、『ピンク・パンサーの息子』と、ピンク・パンサーものを合計8作も手がけている。

初期には『ティファニーで朝食を』や『ティファニーで朝食を』といった名作も上梓している才人だが、晩年はピンク・パンサーだけで食いつないでいたのだなあ。しみじみ。

DATA
  • 原題/The Pink Panther
  • 製作年/1963年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/115分
STAFF
  • 監督/ブレイク・エドワーズ
  • 製作/マーティン・ジュロー
  • 脚本/モーリス・リッチマン、ブレイク・エドワーズ
  • 撮影/フィリップ・ラスロップ
  • 音楽/ヘンリー・マンシーニ
  • 衣装/イヴ・サンローラン
CAST
  • デヴィッド・ニーヴン
  • ピーター・セラーズ
  • クラウディア・カルディナーレ
  • キャプシーヌ
  • ロバート・ワグナー
  • フラン・ジェフリーズ
  • ブレンダ・デ・バンジー
  • コリン・ゴードン
  • ジョン・ル・メスリエール

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