肩の力が抜けまくった、サウンド・コンシャスなアルバム
ナニがいいって、『BIG FUN』(2009年)というストレートなタイトルがいいと思う。
特に気負いやプレッシャーもなく、「僕も楽しく作ることができたんで、皆さんも定価3,300円ぶんたっぷりお楽しみください」というカジュアルさがある。肩の力が抜けまくったかのような、バリー・マッギーによるシンプルなジャケもグーではないか。
前作『Flash』(2005年)あたりから、テイ・トウワはその卓越したエディット・センスよりも、リスナーを包み込むソナー(響き)を第一主義にしているような感じを受ける。
「僕はたぶんテクノロジーを使ってどんどん角を丸くしていきたいんだと思うんだよね」とテイ自身が語るとおり、エッジの利いたフロア・ミュージックではなく、「丸みのある、サウンドコンシャスな空間を創り上げたい」と思っているのではないか?
『Future Listening!』(1994年)や『Sound Museum』(1997年)の頃には濃厚だった、広告代理店的小賢しさが減退して、純粋にサウンド・コンシャスな音楽を奏で始めているのだ。
個人的に好きなトラックは、M-3の『Out of My Addiction of Love』。チボ・マットの羽鳥美保をゲスト・ヴォーカルに迎えた、シタールの音色がエレクトロ・ミュージックと絶妙に解け合うオリエンタルなナンバーなんだが、妙に羽鳥美保の「Take It Down!」の言い方がハマってしまって、何度もリプレイしてしまいました。
M-5『A.O.R.』のアンニュイなヴォーカルもいいよね。え?これ歌ってるの、松田龍平と結婚したモデルの太田莉菜だって?フツーに可愛い娘をゲストに呼んでるよね。羨ましい。
『BIG FUN』は、健康な肉体と健康な精神を持ったミュージシャンがつくった、極めて健康的なアルバムである。クラブ・ミュージック随一の策士テイ・トウワは、ヘルシーなアーティストへと変貌を遂げ、ただひたすらにBIG FUNな音楽をドロップした。
そういうアプローチって、僕はすごくいいと思う。音楽ってそもそもそーゆーもんだもん。
- アーティスト/TOWA TEI
- 発売年/2009年
- レーベル/コロムビアミュージックエンタテインメント
- Y.O.R.
- Taste of You
- Out of My Addiction of Love
- Lyricist
- Twinkle Twinkle Little Star
- A.O.R.
- Ch. Galaxy
- Mind Wall
- Siesta
- All
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