「『パリから来た殺し屋』異邦人の視点から見つめた、批評的LAノワール」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。
『パリから来た殺し屋』(72)は、ロサンゼルスの街を俯瞰する長回しの空撮から幕を開ける。驚かされるのは、その異様なほどの静けさ。映画のオープニングにもかかわらず、BGMはおろか、環境音もほぼ排除された無音状態が延々と続くのだ。
不気味なほどの静寂に観客が戸惑い始めた矢先、ミシェル・ルグランの躍動感あふれるジャズ・ファンクが突如として鼓膜を打つ。画面の切り替わりとともに映し出されるのは、高速道路を突っ走る一台のタクシー。後部座席に乗っているのは、パリからやってきたルシアン・ベロン(ジャン=ルイ・トランティニャン)だ。かくして、無音からの鮮烈な音の爆発とともに、一人のフランス人殺し屋が太陽の降り注ぐロサンゼルスに舞い降りた。
フランスのジャック・ドレー監督とジャン=ルイ・トランティニャンがタッグを組んだ本作は、フランス、イタリア、アメリカ合作で製作された異色の犯罪映画。『太陽が知っている』(69)や『ボルサリーノ』(70)といったドレー監督の大ヒット作に比べると知名度は劣るものの、その完成度は間違いなく傑作ノワールと呼ぶにふさわしい。
ぜひご一読ください!
作品情報
スタッフ
- 監督/ジャック・ドレー
- 脚本/ジャン=クロード・カリエール、ジャック・ドレー、イアン・マクレラン・ハンター
- 製作/ジャック・バール
- 製作総指揮/マリク・B・アリ、ベイディー・アリ、ハムザ・アリ、グレッグ・ニューマン
- 制作会社/シテ・フィルム、テラ・フィルム、ユナイテッド・アーティスツ
- 撮影/シルバーノ・イッポリティ
- 音楽/ミシェル・ルグラン
- 編集/アンリ・ラノエ
- 美術/フェルナンド・カルレ
キャスト