『モリコーネ 映画が恋した音楽家』の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『モリコーネ 映画が恋した音楽家』偉大なマエストロの半生を通して描く“映画史”」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

たぶん筆者が最初にエンニオ・モリコーネの音楽に触れたのは、坂本龍一が1988年にリリースしたライブ・アルバム「Playing The Orchestra」だと思う。これがやたらデカいボックスセットで、箱を振るとガシャガシャと音が鳴るという謎の仕様。ティーンエイジャーの僕はこの限定版をなけなしの小遣いでゲットし、「戦場のメリークリスマス」や「ラストエンペラー」のオーケストラver.を繰り返し聴いたものである。そしてこのアルバムのDisc3に収録されていたのが、「1900年」だった。

壮大で、流麗で、力強いメロディー。たちまち筆者は、この曲にすっかり魅了されてしまった。坂本龍一のアルバムには未収録なものだから、てっきりライブでしか演奏しないお宝曲なんだと思い込み、ありがたい気持ちで繰り返し繰り返し聴いたものだ。これがエンニオ・モリコーネという名前のイタリア人が作曲したもので、ベルナルド・ベルトルッチ監督『1900年』(76)のテーマ曲であることに気づいたのは、もう少し後のこと。自分の無知を恥じ、慌ててエンニオ・モリコーネのベスト盤を買ってみたら、冒頭から『荒野の用心棒』(64)のテーマ曲が耳に飛び込んできた。

哀愁に満ちたギターの旋律、そしてあの印象的な口笛。『1900年』のようなオーケストラ曲を期待していた筆者には、あまりにも驚愕のトラックだった。さらに脳天を打ち砕かれたのが、『エクソシスト2』(77)に使用された「Magic and Ecstasy」。ドスの効いたヘビーメタルに子供たちの奇っ怪なコーラスがかぶさるという、不穏すぎるサウンド。一聴して、筆者はようやく気づいた。エンニオ・モリコーネは、オーケストラによる華麗な組曲も、ジョン・ケージのような前衛音楽も、轟音が唸りをあげるヘヴィなロックも、自由自在に操ることができる巨人であることを。

ぜひご一読ください!

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