『真昼の死闘』の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『真昼の死闘』クリント・イーストウッド×シャーリー・マクレーン、西部劇×ロマンティック・コメディ」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

『真昼の死闘』(70)は、こんな場面で幕を開ける。クリント・イーストウッド演じる流れ者のホーガンは、3人の荒くれ者に襲われそうになっている裸の女性に出くわす。得意の銃さばきで、あっという間に悪漢を退治するホーガン。感謝の意を伝える女性の正体は、メキシコの地で布教活動に身を尽くす尼僧だった…。

筆者が驚いたのは、そのシスター・サラを演じているのが、シャーリー・マクレーンだったこと。『アパートの鍵貸します』(60)や『あなただけ今晩は』(63)など、ロマンティック・コメディの印象が強い彼女が、南北戦争直後のメキシコを舞台に繰り広げられる西部劇に…。しかもクリント・イーストウッドが、いつもの仏頂面でいつものイーストウッドを演じるような西部劇に出演していることに、決して交わらないはずの世界線が交錯してしまったかのような、不思議な感覚を覚えてしまったのである。

無駄口を叩かない正体不明のアウトローという設定は、イーストウッドが主演した『荒野の用心棒』(64)、『夕陽のガンマン』(65)、『続・夕陽のガンマン』(66)の「ドル箱三部作」を彷彿とさせる。ホーガンのガンベルトとホルスターは、「ドル箱三部作」で“名もなき男”で身につけていたものと同じものだ。しかも本作の音楽を務めているのは、その三部作の作曲で名を馳せていたエンニオ・モリコーネ。監督こそセルジオ・レオーネではなくドン・シーゲルだが、『真昼の死闘』という作品は、「ドル箱三部作」直系のマカロニ・ウェスタンとして機能しているのだ。なおのこと、シャーリー・マクレーンの姿がスクリーンに映し出されていることに、えも言われぬ違和感を抱いてしまう。

ぜひご一読ください!

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