『怪物の木こり』の考察/解説レビューをIGN Japanに寄稿しました

怪物の木こり – レビュー」という考察/解説レビューをIGN Japanに寄稿しました。

三池崇史といえばバイオレンス、バイオレンスといえば三池崇史。彼のフィルモグラフィーは、凄惨な暴力と真っ赤な血で塗りたくられている。彼の最新作『怪物の木こり』もまた、第17回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作を映画化したサイコスリラー。斧で頭をカチ割って脳を奪い去る連続殺人鬼と、彼に命を狙われるサイコパス弁護士・二宮(亀梨和也)。『フレディVSジェイソン』(2003年)のように、もしくは『エイリアンVS.プレデター』(2004年)のように、悪と悪とのタイマン対決が描かれる。

殺人鬼/サイコパスというモチーフは、三池崇史の得意技だ。『殺し屋1』(2001年)では、SM偏執狂のヤクザ・垣原(浅野忠信)と殺人マシンのイチ(大森南朋)との戦いが描かれていたし、『IZO』(2004年)は、現代に蘇った岡田以蔵(中山一也)が残虐非道の限りを尽くす映画だった。個人的には、伊藤英明がサイコパス高校教師・蓮実を怪演する『悪の教典』(2012年)が、三池サイコパス映画の集大成ではないか、と思っている。軽快なジャズナンバー「Mack The Knife(マック・ザ・ナイフ)」に乗せて、伊藤英明が生徒たちを散弾銃で次々と銃殺する極悪ぶりに、思わず体が仰け反りそうになった。

今作『怪物の木こり』で主演を務めるのは、亀梨和也。言わずと知れた、アイドルグループKAT-TUNのメンバー。そんな彼がサイコパスを演じるというのは意外な気もするが、よくよく考えてみると、三池崇史は傑作時代劇をリメイクした『十三人の刺客』(2010年)で、残虐非道の限りを尽くす暴君・松平斉韶役に稲垣吾郎をキャスティングしている。クールな表情の奥に潜む狂気。<アイドル>という役を長年演じてきた亀梨和也が、サイコパスの本性を隠して<普通の人間>を演じる二宮役というのは、実はロジカルな配役といえる。

ぜひご一読ください!

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