「フー・ダニット」があまりにも希薄な、残念ミステリー
ドロシー・ポーターのエロティック・サスペンス小説『Monkey’s Mask』を、『女と女と井戸の中』(1997年)の女流監督サマンサ・ラングが映画化したのが、この『ポエトリー、セックス』(2001年)。
突如行方不明となった女子大生ミッキーを消息を求めて、女探偵のジルが捜査を始めるものの、手がかりはエロエロなポエムだけ。やがてミッキーの担当教官ダイアナと激しい恋に落ちたジルだったが、ミッキーが無惨な死体となって見つかったことにより、事態は急転する…。
よほどボンヤリしていなければ、99%の確率で犯人の目安がついてしまう二流サスペンス。幻想的な詩世界をエロティックにコーティングしたといえば聞こえはいいが、ミステリーの鉄則である「フー・ダニット」があまりにも希薄だし、主人公の女探偵がレズなので、お世辞にも美しいとは言い難いレズアン・セックスを観させられるのもキツイ。
その中年女性を演じるのがケリー・マクギリスなのだが、『トップガン』(1986年)や『刑事ジョン・ブック/目撃者』(1985年)の面影はどこにもなく、すっかりオバサンになってしまいました。歳月って残酷ね。
主人公ジルのキャラ設定は、古き良き時代のハードボイルドを思わせるアウトローぶりがなかなかグッド。元の上司である刑事部長と険悪な関係など、まさにフィルムノワール!という感じ。
どうでもいい話だが、彼女はパンツをはかずにジーパンを着てたけど、あれじゃ風邪ひくんでないかい。パンツはきちんとはきましょう。
という訳で、この稿おしまい。なんか妙にアッサリしたレビューになっちゃったけど、映画自体もアッサリした映画だったから、これでいいのだ。
- 原題/The Monkey’s Mask
- 製作年/2001年
- 製作国/オーストラリア
- 上映時間/90分
- 監督/サマンサ・ラング
- 原作/ドロシー・ポーター
- 製作/ロバート・コノリー、ジョン・メイナード
- 脚本/アン・ケネディ
- 撮影/ギャリー・フィリップス
- 美術/マイケル・フィリップス
- 衣装/エミリー・セレシン
- 音楽/シングル・ガン・セオリィ
- スージー・ポーター
- アビー・コーニッシュ
- ケリー・マクギリス
- マートン・チョカス
- クリス・ヘイウッド
- ブレンダン・カウエル
- ジム・ホルト
- ボファナ・ノヴァコヴィク
- ジャン=ピエール・ミニョン
- キャロライン・ジルマー
- ジョン・ノーブル
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