小生のお気に入りだったシェリリン・フェンは、デヴィッド・リンチに捨てられて生気を失っちゃったし、ララ・フリン・ボイルは、『メン・イン・ブラック2』以降すっかり人相が変わってしまった。
メッチェン・アミックは、単なる脱ぎ要員に転落してしまったし、もはや『ツイン・ピークス』組で唯一の勝ち組といっていいのは、ヘザー・グラハムだろう。
そのヘザーが主演したエロティック・サスペンスが、『キリング・ミー・ソフトリー』。もともと、どんなヘタレ映画でも脱ぎまくっていた彼女だが、本作でも一糸まとわぬ姿を存分に披露しており、男性諸君には大変おめでたい。ありがとう、ヘザー。
とにかく、『キリング・ミー・ソフトリー』はすべてが唐突な映画である。出勤途中の交差点で、偶然目と目があったヘザー嬢と全身ジゴロのジョセフ・ファインズ。
彼女は彼の熱~~~~~~い視線だけで秒殺ノックアウトされ、ほとんど会話もしていないのにノコノコ彼の家にやってきて、獣のごとくファックしてしまう。まさにアクシデンタル・セックス。
演出の意図としては、「カタブツのキャリアウーマンが、自らのセクシャリティを一気に解放する」ということなのだろうが、観ている方は、“単に受動的で、スキだらけのオンナのコ”にしかみえない。まあ嫌いじゃないけど、そういう娘。っていうか好きです。
めくるめく快感にすっかり身をゆだねてしまったヘザー嬢は、もう頭の中はセックスのことばっか。唐突なプロポーズも当然のように受け入れ、夜はSMプレイによがりまくる。R-18指定映画もナットクの官能シーンに、小生昇天!僕もこんな美女を調教してみたい。
しかし暴力的なセックスも、チャイニーズ・ヌーヴェルバーグの巨匠・陳凱歌の手にかかればアラ不思議。デカダンな美意識が格調高いエロスをかぐわせるんである。
愛する夫が実は殺人犯なのではないか…という、ヒッチコックの『断崖』と同じシチュエーションながら、『キリング・ミー・ソフトリー』はセクシャルな要素を強調することによって、現代的なコーティングを施してはいるが、しかしながら映画の出力、ノワール性の発露が致命的に弱い。
アジアの巨匠監督がわざわざハリウッドまで来て撮りたかったのはナンだったのか。やっぱヘザー嬢の生ハダカを拝む事だったんスカね?
- 原題/Killing Me Softly
- 製作年/2001年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/101分
- 監督/陳凱歌(チェン・カイコー)
- 製作/ジョー・メジャック、リンダ・マイルズ、マイケル・チニック
- 製作総指揮/アイヴァン・ライトマン、トム・ポラック
- 原作/ニッキ・フレンチ
- 脚本/カラ・リンドストロム
- 撮影/マイケル・コールター
- ヘザー・グラハム
- ジョセフ・ファインズ
- ナターシャ・マケルホーン
- ウルリク・トムセン
- イアン・ハート
- ジェイソン・ヒューズ
- ヘレン・グレース
- オリヴィア・ポレット
- ロナン・ヴィバート
- イアン・アスピナル
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