『ヒッチコックの映画術』の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『ヒッチコックの映画術』サスペンスの神様、かく語りき」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

静謐なピアノの調べ、優雅にたゆたう一匹の金魚。『ヒッチコックの映画術』(22)は、そんな美しいオープニングで幕を開ける。すると突然、信じられないテロップがスクリーンに映し出される…「脚本&ナレーション アルフレッド・ヒッチコック」。そして「木立の中の私が見えるかな?」と、どこか人を食ったような、茶目っ気のある、独特なあの“声”が聴こえてくる。「私の死から20年後に作られた記念碑だ」とその声の主は語りかけ、いつもと違う角度からヒッチコック映画を探索してみよう、と我々を誘う…。ヒッチコック自身の声で。

もちろん、これはフェイクだ。偉大なるサー・アルフレッド・ヒッチコックの声の正体は、アリステア・マクゴーワン。デヴィッド・ベッカム、ゲイリー・リネカー、トニー・ブレア、チャールズ皇太子の物真似でも有名な芸人だ。監督のマーク・カズンズが書いたダイアローグを、驚異的な声帯模写で演じ切っている。筆者はヒッチコック自らホストを務めたテレビ番組「ヒッチコック劇場」を鑑賞して聴き比べてみたが、正直違いがさっぱり分からなかった。

「オーソン・ウェルズについて撮った映画が好評だったので、それをさらに一歩進めて、ヒッチコックを一人称で描こうと思ったんだ。本当に数秒で思いついたんだよ。より親密な脚本になり、ユーモアも生まれるしね」(*1)

とカズンズは語る。『ヒッチコックの映画術』は、黄泉の国からヒッチコックが蘇り、自身のキャリアを振り返るという、破格の構成がとられているのだ。

ぜひご一読ください!

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