『ツィゴイネルワイゼン』の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『ツィゴイネルワイゼン』奇天烈で色即是空な白昼夢ムービー」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

『港の乾杯 勝利をわが手に』(56)で監督デビューを果たした時から、鈴木清順は会社から「よく分からない」と叱られていたという。イマジナリーラインは平気で無視するし、説明カットはないし、観客を混乱させる映画ばかり作っていたからだ。だが「映画文法を無視することで脱構築する」みたいな、実験精神に富んでいた訳ではない。本人は至極真面目に娯楽映画を撮っているつもりなのに、結果的にアバンギャルドになってしまう。生粋の前衛。ナチュラル・ボーン・パンクス。鈴木清順は最初から鈴木清順だった。

その後も、『関東無宿』(63)、『刺青一代』(65)、『東京流れ者』(66)、『けんかえれじい』(66)といったプログラム・ピクチャーを次々と発表。青春映画あり、文芸映画あり、アクション映画あり、サスペンス映画あり、任侠映画ありと、そのジャンルは多種多様を極めた。40本目に制作した『殺しの烙印』(67)は、当時隆盛を誇っていた日活無国籍アクション。“エースのジョー”こと宍戸錠を主演に迎えたこの作品もまた、「殺し屋ランキングが発表される世界で、殺しのプロフェッショナルたちがシノギを削る」という意味不明なストーリー。

今でこそ、ジム・ジャームッシュがこの映画にオマージュを捧げた『ゴースト・ドッグ』(99)を発表するなど、世界の映画人に影響を与えたカルト映画として知られているが、宍戸錠演じる主人公が炊飯器で米を炊く匂いに恍惚とするような、謎描写のオンパレードに日活社長の堀久作が激怒。「訳の分からない映画をつくる」という物凄い理由で、鈴木は日活を解雇されてしまう。

ぜひご一読ください!

アーカイブ

メタ情報

最近の投稿

最近のコメント

カテゴリー