80年代にニューヨークのインディーズ映画シーンを牽引したのは、間違いなくジム・ジャームッシュだった。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』、『ダウン・バイ・ロー』、『ミステリー・トレイン』‥‥。彼が紡ぎ出す作品は、オフビートで、飄々としていて、どこか捉えどころがない。そのワン・アンド・オンリーな個性に、コアな映画ファンがシビれたのである。
日本を代表するロックバンド、クリープハイプのフロントマン尾崎世界観もその一人。彼はオールタイムベストに、1991年に公開された『ナイト・オン・ザ・プラネット』を挙げている。そのあまりの衝撃に「よし、バンドやろう!」と思い立ったくらいだから、人生を変えた一本といってもいいだろう(クリープハイプというバンド名は、『ナイト・オン・ザ・プラネット』に登場する“ハイプ”というセリフに由来している)。
お話は、タクシー運転手と乗客との悲喜こもごもをペーソスたっぷりに描いた、全5話から成るオムニバス映画。特に第一話のロサンゼルス編で若い女性タクシー運転手を演じるウィノナ・ライダーは、天下無双のキュートさである!と断言してしまおう。その『ナイト・オン・ザ・プラネット』にインスパイアを受けて、尾崎世界観が作った新曲が「ナイトオンザプラネット」。さらにその「ナイトオンザプラネット」にインスパイアを受けて、松居大悟監督が作った映画が、この『ちょっと思い出しただけ』なのである。
ぜひご一読ください!
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