まんが道/藤子不二雄

まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)

少年時代に『まんが道』を読んで、「俺も将来、手塚治虫のような漫画家になってやる!」とエアーズ・ロックの如き、固い決心をしたのは僕一人ではあるまい。トキワ荘のようなオンボロアパートに相棒と住み、余りある情熱をマンガにぶつける日々。ここには、僕が理想とする青春があった。

何かに熱中すること。限り無い情熱をもって、何かにうちこむこと。「感動」の飢餓状態にある現代において、「まんが道」の真直ぐなまでのパッションは眩しいばかりだ。栄光、挫折、友情、勇気。これには青春の全てが詰まっている。…まあ、ちょっと恋愛の要素が希薄のような気もしないではないが。

…ナニ?それって単にモテなかったからじゃないかって?いや、違う!!それだけマンガに打ち込んでいたということだ!もし「まんが道」がより恋愛モノにシフトしていたら、泥臭いほどの青春グラフティーが崩壊してしまう。オンナなんかにウツツをぬかしてる場合じゃないのだ。

手塚治虫、寺田ヒロオ、石ノ森章太郎、赤塚不二夫。後の漫画黄金期を支えることになる、この豪華絢爛な「トキワ荘」の面々。主人公の満賀と才野はスランプやピンチに陥っても、彼等の友情によって困難を切り抜けていくんである。ああ、友情の何と素晴らしきことよ。「仲間ってスバラシイ!俺も同じ夢に燃える仲間を七人くらい集めて(指輪物語か!?)、明日に向かって頑張るぞ!」などというセリフが口が出れば、アナタも立派なトキワ荘の住人である。

この作品は漫画家のみならず、あらゆるメディアでクリエイティヴなものを目指す若者の、格好のテキストになるだろう。ビバ、まんが道。個人的には、この漫画を国語の教科書に取りあげて欲しいくらいだ。長過ぎるけど。

DATA
  • 著者/藤子不二雄
  • 発売年/1970年
  • 出版社/中央文庫

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