スタッフ&キャストはA級、内容はZ級のトンデモ映画
【思いっきりネタをばらしているので、未見の方はご注意ください。】
主演アンジェリーナ・ジョリー!共演がイーサン・ホークに、キーファー・サザーランド!ジャン=ユーグ・アングラード、オリヴィエ・マルティネス、そして元祖“グロリア”こと、ジーナ・ローランズも出演!
前衛音楽の巨匠、フィリップ・グラスが音楽を担当!監督は新進気鋭の映像派、D・J・カルーソー(知らん)!これだけA級のスタッフ、キャストを揃えているのに内容はZ級。ハッキリ言ってこの『テイキング・ライブス』(2004年)、トンデモ映画だと思います。
まずこの映画、先がまったく読めない。先が読めないのは、製作サイドが観客の心理を見透かしたうえで、綿密なプロットを作り込んでいるいるのではなく、話が行き当たりばったりで進行するからである。
いやー、ここまで伏線のないサスペンス映画というのも珍しい。ロードムービーっぽい導入部(最初、借りたDVDを間違えたかと思いました)は選曲、映像センス共に面白いが、尺をとった割にはその後の物語に全く影響を与えないっちゅーのはいかがなものか。
そもそも真犯人のイーサン・ホークが、殺人を繰り返しては被害者になりすましてその人生を奪うという、ヤドカリのごとき習性になぜ至ったかが全く説明されず。
「母親に愛されなかったために、自分以外の誰かに成りたかった」という安易極まりないプロファイリングがあるだけで、それじゃあ連続殺人を起こす理由にはならないと思うのだが、そんなことはお構いなしにドラマは明後日の方向に突き進む。
アンジェリーナ・ジョリー演じる主人公も、洞察力鋭い有能な特殊捜査官と思いきや、教科書的なプロファイリングを披露しては、確実に捜査を間違った方向に仕向けてしまうデタラメぶり。イーサン・ホークと一夜を共にしてからは、すっかり恋する女の子に変身してしまうツンデレっぷりは意外でした。
そういう意味でこの『テイキング・ライブス』は、アンジェリーナ・ジョリーとイーサン・ホークの関係性が常に流動する作品と言ってもいいのかもしれない。
キーファー・サザーランドは出てきたと思ったら数分後には死んじゃうし、ジーナ・ローランズは女傑ぶりを発揮する前に首を切り落とされちゃうし、皆ネームバリューの割に悲惨な末路を迎えてしまう。こんな作品でも体を張ってセックスシーンを熱演するアンジェリーナ姐さんはマジ偉いと思います。
《補足》
舞台がカナダのモントリオールなのに、ジャン=ユーグ・アングラード、オリヴィエ・マルティネスなどフランス系の俳優が刑事役で出演しているのは不思議な気がするが、そもそもモントリオールは「北米のパリ」とも言われるフランス語圏の都市なのだそう。
コスモポリタン・シティという訳ですな。勉強になりました。
- 原題/Taking Lives
- 製作年/2004年
- 製作国/アメリカ、カナダ
- 上映時間/103分
- 監督/D・J・カルーソー
- 製作/ マーク・キャントン、 バーニー・ゴールドマン
- 製作総指揮/ブルース・バーマン、デヴィッド・ハイマン、デイナ・ゴールドバーグ
- 脚本/ジョン・ボーケンキャンプ
- 撮影/アミール・M・モクリ
- 原作/マイケル・パイ
- 音楽/フィリップ・グラス
- アンジェリーナ・ジョリー
- イーサン・ホーク
- キーファー・サザーランド
- ジーナ・ローランズ
- オリヴィエ・マルティネス
- チェッキー・カリョ
- ジャン=ユーグ・アングラード
- ポール・ダノ
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