トランスフォーマー/マイケル・ベイ

トランスフォーマー [Blu-ray]

どーしてもその映像センスが生理的に受け付けられない僕にとって、マイケル・ベイという存在は天敵に近い存在である。

被写体を逆光で捉えてシルエットっぽく撮ってみたり、被写体を360°転回させてみたり、わざと画面にハレーションを起こさせてみたりと、ひとつひとつのカットをグラフィカルに撮ろうとするアーティスト臭がぷんぷん漂ってきて、イライラしてしまうんである。

そんなマイケル・ベイがSF超大作『トランスフォーマー』(2007)を撮った。プロデューサーを務めたスティーヴン・スピルバーグをして「カッコよく車を撮らせたら、彼の右に出る者はいない」と言わしめるぐらいだから、クルマが巨大ロボットに変形する映画に彼はベストチョイスだったんだろう。

僕はそもそもクルマに興味がないし、別に子供の頃にアニメを観た経験もオモチャを買った経験もないので、『トランスフォーマー』自体への関心もなかったんだが、ミョーに僕の周囲で評判が良かったので思わず観てしまいました。

でも想像通り、この映画でもマイケル・ベイ節は全開で、辟易させられることしばしば。彼はここぞというシーンでは必ずスローモーションにして、燃え盛る太陽が逆光ぎみに被写体を照らすんであるが、ホント「お前ほかに手はないのか?」と思うくらいに手札がなさすぎ。

彼の演出スタイルをアメリカではベイ・ヘムと呼び、世間的にはスタイリッシュな映像設計を施す映画監督として定着しているようだが、僕には鼻持ちならない演出にみえて仕方がない。

そんな過剰な装飾主義を中和する役割を果たしているのが、意外にも全編を貫くユーモアのセンス。イケてない16歳の少年サム(シャイア・ラブーフ)と両親とのやりとりは、ほとんど『フレンズ』とか『となりのサイエンフェルド』に近いコメディードラマのノリ。

そして、セクター7なる秘密組織のボスを演じるジョン・タトゥーロは、頭のトチ狂った怪演。後半になってくるとこのノリが少々ウザくなってくるが、とにかく有り余るほどのサービス精神に徹している。

さらには、荒唐無稽なドラマにリアリティーを付与すべく、カタール基地への襲撃に立ち向かう米軍兵の奮闘ぶりや、未曾有の危機に混乱をきたす国防総省の対応ぶりを描くなど、『24 -TWENTY FOUR-』のようなポリティカル・サスペンスドラマのエッセンスもまぶしている(実際に『24』に出演しているジョン・ヴォイトやグレン・モーシャワーも顔を出しているし)。

つまりこの映画、『フレンズ』系のユーモアと『24 -TWENTY FOUR-』系のスリルを“巨大ロボット”というモチーフで接着させ、マイケル・ベイの大仰な演出でまとめてしまった作品なんである。節操ないね。

あとこの映画、基礎知識がないと名称を覚えるのに苦労する。えーと、サイバトロンなる機械惑星から、地球を我がものにせんとするディセプティコン一派と、地球を魔の手から救おうとするオートボット一派がやってきて、オールスパークを巡って対立するんでしたっけ。

オプティマス・プライムとかバンブルビーとかメガトロンとか、とにかくそういう名前のトランスフォーマーがいっぱい出てくるんでしたっけ。

いやー、僕も短期記憶を司る海馬がだいぶイカれているので、さっぱり覚えられません。続編が公開されるまでには予習しておきます。

DATA
  • 原題/Transformers
  • 製作年/2007年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/145分
STAFF
  • 監督/マイケル・ベイ
  • 製作/ドン・マーフィー、トム・デサント、ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ、イアン・ブライス
  • 製作総指揮/スティーヴン・スピルバーグ、マイケル・ベイ、ブライアン・ゴルドナー、マーク・バーランディアン
  • 製作補佐/ケニー・ベイツ
  • 脚本/アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、ジョン・ロジャース
  • 編集/ポール・ルベル、グレン・スキャントルベリー
  • 撮影/ミッチェル・アムンドセン
  • 視覚効果/スコット・ファーラー
  • 美術/ナイジェル・フェルプス
  • 衣装/デボラ・リン・スコット
  • 音楽/スティーヴ・ジャブロンスキー
CAST
  • シャイア・ラブーフ
  • ミーガン・フォックス
  • ジョシュ・デュアメル
  • ジョン・タトゥーロ
  • タイリース・ギズソン
  • レイン・ウィルソン
  • イザベル・ルーカス
  • ラモン・ロドリゲス
  • アメリカ・オリーヴォ
  • マシュー・マースデン
  • ジョン・ヴォイト

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