東京ゴッドファーザーズ/今敏

東京ゴッドファーザーズ [Blu-ray]

皮膚感覚の回復、身体感覚の奪還。今敏がチャレンジした果敢な目論見

『パーフェクトブルー』、『千年女優』、『パプリカ』など、国内外で評価の高いアニメーションを世に送り出し続けている今敏監督だが、僕は恥ずかしながら彼の作品は全て未見だったので、今回一念発起して“今敏童貞”を切ることを決意。

特に何の理由もなくチョイスしたのが『東京ゴッドファーザーズ』だったんだが、まさかこれほどまでにコテコテの「人情モノ」とは思いませんでした。

ほろ苦くも哀しくて可笑しい“山田洋次的ドタバタ劇”なのに、作画クオリティーはハイレベル(まあマッドハウスだからね)という、ヘンにミスマッチな映画なんである。

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今敏は製作ノートのなかで、「芝居そのものを見せ物に出来まいか、という発想からこのストーリーを組み立てていった」と語っている。

なるほど、確かにこの作品の基本的なフォーマットは、ゴミ捨て場で拾った赤ん坊を実の親に返そうと、3人のホームレスが奮闘する悲喜劇だ。

自称元競輪選手(実は自転車屋の親父)のギンちゃん、元ドラッグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキの彼らのちょっと間の抜けた悪戦苦闘ぶりに笑い、彼らの一途で真摯な想いに共感し、そして泣かされてしまう。

言うまでもなくアニメーションの最大の武器は、「動きのダイナミズム」にある。現実世界では成立し得ないアクションを二次元の世界に導入することによって、視覚的興奮を覚えさせることに有効なメディアなのだ。

しかし日本アニメ界の“ご意見番”押井守は、「最近はアニメーションの中で、登場人物が演技できるようになってきましたねー?」というインタビュイーの問いかけに対し、

「実写の方がどんどん後退していって、宮さん(宮崎駿)は、アニメーションで情緒的な存在を描こうとしている。実写とアニメーションが、微妙に逆転しているんです」

と答えている。同じインタビューのなかで、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが「『踊る大捜査線』の登場人物が汗をかかないことに驚いた。これは感覚を失った若者たちの映画だ」と発言していることも興味深し。

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