映画は、時間を自在に操れるメディアだ。最初から最後までカットを切らずにカメラを回し続けてもいいし(いわゆるワンシーン・ワンカット)、過去や未来の時制を入れ込んでもいいし(いわゆるフラッシュバック&フラッシュフォワード)、時間そのものを伸縮させてもいい(いわゆるスローモーション&クイックモーション)。
優れた映画監督の定義は難しいが、その一つとして「時間を上手にコントロールできる能力」を挙げてもいいのではないか? いいと思う!
いま、“時間”に対して最も自覚的に映画を作り続けている作家といえば、リチャード・リンクレイターだろう。といっても、彼は映画技法的に時間を操るのではない。映画そのものが、時間を感じさせる構造になっているのだ。
あるインタビューでリンクレイターは、こんなコメントを残している。
The most unique property of cinema is how it lets you mold time, whether it’s over a long or a very brief period.
(映画の最もユニークな特性は、それが長いか短いかに関わらず、どのように時間を形成しているかということです。)
リンクレイターにとって映画とはまさに時間の連なりであり、それがどのように扱われているかが最も重要なポイントなのだ。そんな訳で【フィルムメーカー列伝 第五回】は、“アメリカ映画界の異端児”リチャード・リンクレイターについて考察していこう。
ぜひご一読ください!
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