ビフォア・ミッドナイト/リチャード・リンクレイター

ビフォア・ミッドナイト [Blu-ray]

過去2作とは一線を画す、倦怠期夫婦の“リアル”が描かれた等身大ドラマ

親愛なるジュリー・デルピー様

ご無沙汰しております。竹島ルイです。『ビフォア・サンセット』から9年、待ちに待ったシリーズ第3弾の公開ですね。また貴女の麗ししいお姿が拝見できるとあって、おっとり刀で劇場まで駆けつけました。

さすがに下半身には多少肉がついたようですが、相変わらずチャーミングでインテリジェンス溢れるその立ち振る舞いに、小生改めて感激しております。今でも眼をつむると、前作『ビフォア・サンセット』の素晴らしいシーンの数々が走馬灯のように甦って参ります。

イーサン・ホーク演じる作家のジェシーに久々に再会し、思わずココロときめく貴女。次のサイン会のためにすぐ空港に行かなくてはいけない彼を、ナンダカンダとパリの自宅に招き入れ、貴女は愛の調べをギターでつまびかれます。

ニタニタしながら演奏に聴き入るジェシーに、「空港に遅れちゃうわよ?」と小悪魔のような表情を浮かべて問いかけ、そのまま映画はブツッと終わってしまった訳ですが、今回の新作を拝見するに、どうやらお二人はめでたく結ばれたご様子(籍は入れてないようですが)。

結局空港には行かなかった彼と三日三晩ゴムなしでセックスしまくり、一撃必殺で妊娠し、可愛い双子の女の子にも恵まれたそうで。おめでとうございます。

しかしながら今回の『ビフォア・ミッドナイト』は、これまでの『ビフォア・サンライズ』『ビフォア・サンセット』とはテイストがはっきりと一線を画しています。恋に恋するトキメキ・デイズはとうの昔。

いわば今作は、デレク・シアンフランス監督『ブルーバレンタイン』のごとく、もしくはサム・メンデス監督の『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』のごとく、倦怠期夫婦の“リアル”が描かれた等身大ドラマなのですね。

ギリシャの海辺の町で、貴女方は世代の異なるカップルたちと“結婚論”、“セックス論”を戦わせます。恋愛に幻想を抱いている若者、夫婦の危機を迎えた中年、人生の黄昏を迎えた老人…。

いかにして、パートナーと人生を共に寄り添っていくべきなのか?貴女は、可愛らしく、ちょっぴりエッチに、そして旺盛に結婚論をぶつけますね。倦怠期夫婦の“リアル”が、まさにダイアローグとして語られる構造になっている訳です。

本作の白眉は、やはり貴女の“おっぱい丸出しの痴話喧嘩”でしょう。久々のセックスを楽しもうとするも、ひょんなことから夫婦喧嘩に火が点き、もはや消火不能の状態に。その小ぶりな乳房を隠そうとする気配もなく、貴女は溜まりに溜まった鬱憤をこれでもかとまき散らす。

その乳房は性的記号ではなく、洗濯物や食器や家具と同列の“日常生活にあるもの”として扱われています。もはや何の羞恥心もありません。

小生は、大女優である貴女がおっぱいをぽろりとさらけ出す姿に、えも言われぬ気持ちになりました。足掛け18年貴女を追いかけてきて、まさかこんな形でおっぱいに遭遇するとは!おっぱい。嗚呼、おっぱい。ここまでリビドーを掻き立てないおっぱいというのも、映画史上稀なのではないでしょうか。

ハッピーエンドに見せかけつつ、本作は「夫婦生活は夫婦という役柄を演じることでしか、延命できないのだ」というビターな回答を最終提示します。ホロ苦い真理であろうと、それに従うことが人生の知恵なのでしょう。小生はまた、貴女から貴重な教訓を得たような気がします。

では、また9年後に作られるであろう第4作目でお会いできることを祈りつつ…。

草々

DATA
  • 原題/Before Midnight
  • 製作年/2013年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/109分
STAFF
  • 監督/リチャード・リンクレイター
  • 脚本/リチャード・リンクレイター、イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
  • 製作/リチャード・リンクレイター、クリストス・V・コンスタンタコプーロス、サラ・ウッドハッチ
  • 製作総指揮/ジェイコブ・ペチェニック、マーティン・シェイファー、、リズ・グロッツァー、ジョン・スロス
  • 撮影/クリストス・ヴードゥーリス
  • 編集/サンドラ・エイデアー
  • 音楽/グレアム・レイノルズ
CAST
  • イーサン・ホーク
  • ジュリー・デルピー
  • シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック
  • ジェニファー・プライアー
  • シャーロット・プライアー
  • ウォルター・ラサリー
  • ゼニア・カロゲロプールー
  • アリアーヌ・ラベド
  • ヤニ・パパドプロ

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